2020年東京オリンピック・パラリンピック大会のボランティア ~応募者20万人の裏に多数の応募予備軍~

公益財団法人 笹川スポーツ財団のプレスリリース

【スポーツボランティアに関する調査2019】
「応募はしなかったが応募を検討した」が5.6%。応募者の2倍弱の「応募予備軍」が存在。

 「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する公益財団法人笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区 理事長:渡邉一利 以下:SSF)は、全国の20歳代から60歳代を対象に『スポーツボランティアに関する調査』を、今年3月に実施しております。ラグビーワールドカップ2019、2020年東京オリンピック・パラリンピックを間近に控える今、両大会後に「スポーツボランティア」が社会に根付くためには何が必要か、本調査結果から分析・考察いたしました。

※レポートの全文は、SSF ウェブサイトでご覧いただけます。
http://www.ssf.or.jp/report/category6/tabid/1840/Default.aspx

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【主な調査結果】
1.東京2020
オリンピック・パラリンピックの大会・都市ボランティアへの応募状況
・「応募した」が3.0%、
・「応募はしなかったが応募を検討した」が5.6% 応募者の2倍弱の「応募予備軍」が存在
・応募を検討したが応募に至らなかった理由は、「スケジュール調整」「仕事・学業との調整」によるところが大きい


2.過去1年間のボランティア実施状況
・「スポーツ以外のボランティアを実施」が17.7%
・「スポーツボランティアとスポーツ以外のボランティアの両方を実施」が4.0%
・「スポーツボランティアのみ実施」が1.4% 

3.スポーツボランティア活動を行った経緯
・「自ら応募・立候補して自主的に行った」が18.2%
・「頼まれて行った」が80.6%
・多くの人のスポーツボランティア活動のきっかけは、組織や知人の依頼

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■研究担当者コメント
 東京2020オリンピック・パラリンピックの大会ボランティアには、定員(8万人)を大きく上回る20万人が応募した。本調査では、この20万人の裏に、応募を検討しながら最終的に応募しなかった「応募予備軍」が多数存在することがわかり、世界最大のスポーツイベントに対する国民の関心の高さ、インパクトの大きさが確かめられた。
 調査結果が示すように、ラグビーワールドカップと東京オリンピック・パラリンピック、そして2021年に開催されるワールドマスターズゲームズ2021関西には、スポーツボランティアに対する気運を高める効果がある。大会に関わる自治体と競技団体には、これらの大会のボランティア「当選者」はもちろん、応募して落選した人や、応募を希望しながら、応募できなかった人の意欲を、大会後のスポーツ振興やまちづくりに活かす取組みに着手してもらいたい。
 ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックのボランティアマネジメントを参考に、これまで関係者を動員して実施してきたスポーツイベントや文化イベント、祭りの運営体制を見直し、自発的に参加するボランティアが「来年も参加したい」と思える魅力的なイベントを一つずつ創出することが求められる。


【笹川スポーツ財団スポーツ政策研究所 シニア政策アナリスト 澁谷茂樹】

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【調査結果のポイント】
1.東京オリンピック・パラリンピックボランティア応募者および応募を検討した者の概況

 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックのボランティアへの応募状況についてたずねた。大会組織委員会が募集する大会ボランティア(募集人数8万人)と、競技会場がある自治体が募集する都市ボランティア(東京の募集人数3万人)、それぞれについて、応募状況を確認した。

応募状況:図表1
 オリンピック・パラリンピックの「大会ボランティアに応募した」は1.3%、「都市ボランティアに応募した」は1.0%、「大会ボランティアと都市ボランティア両方に応募した」は0.7%で、全体の3.0%が東京オリンピック・パラリンピックのボランティアに応募していた。
 「応募しなかった」97.0%のうち、5.6%は応募を検討したが、結果として応募しなかったと回答しており、応募者の2倍弱の「応募予備軍」が存在したことがわかった。

図表1 東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティアへの応募状況
※あなたは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックのボランティアに応募しましたか。(1つ選択)

応募しなかった理由(応募を検討した者):図表2
 東京オリンピック・パラリンピックのボランティアについて、「応募しなかった(応募を検討した)」と回答した者に、その理由を自由記述でたずね、結果を集計した。
東京オリンピック・パラリンピックのボランティアへの応募を検討したものの、応募しなかった理由は、(1)スケジュール調整、(2)参加条件、(3)応募時の問題、(4)活動への不安、(5)その他に大別される。
 このうちで最も多かった(1)スケジュール調整では、「スケジュールの調整がつかない」(19.4%)、「仕事・学業との調整がつかない」(17.3%)となっている。(2)参加条件では、「開催地が遠い(移動・宿泊の負担等)」(13.8%)、(3)応募時の問題では、「締切が過ぎていた」(5.4%)、(4)活動への不安では、「体力・健康・年齢による不安」(5.2%)がそれぞれ多くなっている。「開催地が遠い(移動・宿泊の負担等)」、「参加条件が厳しい(日数・時間・報酬等)」、「締切が過ぎていた」、「体力・健康・年齢による不安」などについては、開催都市が限られること、大会ボランティアの活動が10日間以上と長期にわたること、真夏の活動であることなどが、ボランティアの応募に影響していると推察される。

図表2 東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティアに応募しなかった理由(応募を検討した者)

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2.過去1年間のボランティア実施状況
 過去1年間のボランティアの実施状況について、スポーツボランティア実施者、スポーツ以外のボランティア実施者とそれぞれの重複実施者の割合をみた。
 「スポーツ以外のボランティアを実施」が17.7%、「スポーツボランティアとスポーツ以外のボランティアの両方を実施」が4.0%、「スポーツボランティアのみ実施」1.4%であった。スポーツボランティア実施者の多くが、スポーツ以外のボランティアと「掛け持ち」して活動していることがわかる。

図表3 過去1年間のボランティア実施状況:スポーツボランティアとスポーツ以外のボランティア

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3.スポーツボランティア活動を行った経緯
 スポーツボランティア実施者と過去経験者に対し、スポーツボランティア活動の経緯をたずねた。最も多かったのは「地域のグループから頼まれて行った」の30.2%で、以下、「職場や学校のグループから頼まれて行った」(20.7%)、「自ら応募・立候補して自主的に行った」(18.2%)などの順となっている。
 スポーツボランティア実施者と過去経験者の約8割が、活動のきっかけは何らかの組織・団体、グループや友人・知人からの依頼と答えており、スポーツボランティアを自主的・自発的に始める人は少ないことがわかる。


4 スポーツボランティア活動の経緯

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■調査概要
・調査目的
成人のスポーツボランティア実施状況およびスポーツ以外のボランティアの実施状況を把握するとともに、ラグビーワールドカップ2019と東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のボランティアへの応募状況や応募の動機等を明らかにすることを目的とする。
・調査方法
調査会社の登録モニターを用いたインターネット調査
・調査対象
全国の20歳代から60歳代(回収数:10,000サンプル)
・調査時期
2019 年 3 月
・主な調査項目
スポーツ分野をはじめとする、過去1年のボランティア実施状況
東京2020オリンピック・パラリンピックのボランティアへの応募状況
スポーツボランティア活動の開始に至った経緯 他
・実施体制
以下の3者による共同研究として実施
工藤 保子(大東文化大学 スポーツ・健康科学部 准教授)
長倉 富貴(山梨学院大学 経営学部 教授)
澁谷 茂樹(笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策アナリスト)

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