一般社団法人Protect Our Winters Japanのプレスリリース
冬の観光産業を守るため、積雪量・営業状況を環境指標に。アスリートも危機感。
一般社団法人Protect Our Winters Japan(所在地:長野県大町市、代表理事:小松吾郎、以下POW JAPAN)は、所属する一般社団法人日本スノースポーツ&リゾーツ協議会(以下、協議会)の一員として、2026年11月4日、自由民主党ウインタースポーツ&リゾーツ議員連盟の会合に参加しました。協議会は会合で、スノーリゾートの持続的な発展に向けて幅広い分野にわたる提言を行いました。その中には、気候危機がスノースポーツに与える影響の調査や、スキー場の積雪量・営業状況などを環境指標として活用することも盛り込まれています。POW JAPANは、スノー業界が気候変動への危機感を政策提言の場で示したことを重要な一歩として歓迎し、今後も業界の一員として、冬を守るための行動をともに進めてまいります。

POW JAPAN事務局長 高田翔太郎
気候危機が深刻化し、スノースポーツへの影響は無視できるものではありません。その影響をすでに実感しているスノー業界が、自らこの提言を示したことに大きな意義があります。これを出発点に、温室効果ガスの削減をはじめ、業界として取るべき行動について、共通認識を築いていきたいと考えています。
■ 業界団体が「積雪量を気候変動の指標に」と提言
協議会の提言内容は、スノーリゾートの整備やインバウンドの増加に伴う課題など、多岐にわたります。その一つとして気候変動への対応が盛り込まれました。提言では、気候変動による積雪量などの変化で「スノースポーツの実施環境の維持・確保に大きな支障が生じつつあり、スノーリゾートの持続可能な事業運営や投資判断を行う上でも大きな問題となっています」と指摘したうえで、以下の2点を求めています。
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気候変動による影響を調査・検討すること
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スキー場の積雪量や営業状況などを「気候変動の影響を示す分かりやすい環境指標」として活用すること
この提言を受け、議員連盟は「スノーリゾート国際競争力強化と持続的発展に関する決議」をまとめました。決議では「気候変動による小雪化の問題」に言及したうえで、「環境配慮型設備の導入」を図ることにも触れています。
一般社団法人日本スノースポーツ&リゾーツ協議会常務理事 河野博明
「失った物は取り戻せない」
雪が降らなかったらどうなるか、考えたことはありますか?
雪は、スキー場の経営だけでなく、地域の暮らしや文化を支える大切な財産です。気候変動による積雪量や営業状況への影響を正しく把握し、対策につなげることが必要です。
「地球から雪を失う前に、行動を起こすのは今」です。
■ 会合に参加したアスリートの声
会合では、議員連盟の共同代表を務める橋本聖子参議院議員から、POW JAPANアンバサダーで現役アスリートの小野塚彩那と佐藤亜耶に対し、現場で活動する二人が直接要望に訪れたことを歓迎する言葉がありました。

プロスキーヤー・POW JAPANアンバサダー/理事 小野塚彩那
会合では、参加議員の皆さんからさまざまな意見が出されました。海外から多くの観光客が訪れるのも、日本の雪に魅力があるからです。だからこそ、その雪を守ることを議論の中心に据えていただきたいと思います。気候変動の影響を肌で感じている現場の声に耳を傾け、課題の核心に向き合ってくださることを期待しています。
プロスノーボーダー・POW JAPANアンバサダー/理事 佐藤亜耶
新潟を拠点に活動する立場として、新潟をはじめ雪国の議員の皆さんにも、この議論にもっと関わっていただきたいと思います。政治に期待することはたくさんありますが、雪に関わる私たち自身も、国の予算や支援制度に関心を持ち、積極的に情報を得ていく必要があると感じました。

■ 研究が示すスキー場の将来
北海道大学の吉沢直氏らは、全国349カ所のスキー場について、気候変動による影響を評価しました。その結果、世界の平均気温が4℃上がった場合、天然雪だけで安定して全面営業できるスキー場は全国で7カ所に減ると予測されました。一方、2℃上昇に抑えられれば、北海道や長野県などの標高が高い地域を中心に営業できる可能性が残ります。温暖化をどこまで抑えられるかによって、日本のスキー場の未来は大きく変わることになります。
(出典:吉沢直・勝山祐太「将来における日本全国のスキー場の存続可能性:自然積雪条件における気候変動影響評価の試み」『雪氷』88巻4号、2026年)
北海道大学大学院 国際広報メディア観光学院講師 吉沢直
雪不足や猛暑など気候変動による影響は、すでに現場で起こっている変化です。実証研究を増やしていくことにより、その将来の変化を捉えることで気候変動が人々の暮らしやスポーツ文化にどのような影響を与えていくのかを可視化し、私達がその変化へ適応するための道標になります。
スキー場の現場でも雪の変化は実感されており、脱炭素に向けた取り組みが始まっています。
八方尾根開発株式会社マウンテンリゾート事業部 販売促進課SDGs/環境整備 松澤瑞木
近年、雪の降り始めが遅くなったり、シーズン中に雨が降る日が増えるなど、雪の変化を身近に感じるようになりました。八方尾根では2020年からリフトや降雪機の電力を再生可能エネルギーに切り替え、太陽光による自家発電や、森林整備によるCO₂ 吸収量の拡大にも取り組んでいます。しかし、私たちだけでできることには限りがあります。社会全体で危機感を共有し、地域、行政、企業そして雪山を愛する皆さんと一緒に手を取り合って、次の世代に冬を残すための行動を今こそ始めましょう。
■ 国の計画づくりにも広がる動き
国が策定を進めている「第4期スポーツ基本計画」(2027年度開始予定)の中間報告にも、気候変動などがスポーツに与える影響について「その影響の評価とともに具体的な対策についての調査研究の推進を図る」という目標が盛り込まれています。POW JAPANは他の団体とともに、スポーツ政策に気候変動の視点を入れるよう働きかけてきました。この内容が正式な計画にもそのまま残り、施策として実行されることを期待しています。
【POW JAPANについて】

Protect Our Winters(POW)は、気候危機から「冬を守る」ためのムーブメント。2007年、気候変動が私たち滑り手にとって大切なフィールドである雪山に大きな影響を与えることに危機感を抱いたプロスノーボーダーのJEREMY JONESが仲間たちとともに米国でPOWを設立、現在は世界16カ国で活動を展開。日本では2019年からスノーボーダーの小松吾郎を中心に、POW JAPAN(パウジャパン)の活動がスタートした。「行動する仲間たちを増やす」「スノータウンのサステナブル化を促す」「市民の立場から政策に働きかける」の3つを軸に、自然を愛する日本のスキーヤー・スノーボーダーたちと共にムーブメントを広げている。
Webページ:https://protectourwinters.jp/
Instagram:@protectourwintersjapan
一般社団法人Protect Our Winters Japan 概要
名称 一般社団法人Protect Our Winters Japan
代表理事 小松 吾郎
事務局長 髙田翔太郎
設立 2018年9月
連絡先 info@protectourwinters.jp

