地域活動の担い手不足に「親子参加」という新たな選択肢

スポーツイベントを活用した子育て世代の地域参加モデルを丸亀市で実践

公益財団法人 笹川スポーツ財団のプレスリリース

公益財団法人笹川スポーツ財団(東京都港区、理事長:渡邉一利、以下「SSF」)は、香川県丸亀市と連携し、2026年2月1日に開催された「第78回香川丸亀国際ハーフマラソン」において、子どもと保護者が大会運営をささえる「丸亀ハーフ親子ボランティア」を実施しました。

地域活動の担い手の高齢化が進む一方で、子育て世代・働き世代は、仕事や子育てなどにより時間的な制約が大きく、地域活動に参加する機会を持ちにくいという課題があります。

そこでSSFと丸亀市は、「保護者一人では参加しづらくても、子どもと一緒なら参加しやすい」という発想から、親子で楽しみながら地域に関われるスポーツボランティアを企画しました。

参加したのは、市内に住む幼稚園・保育所の年長児から小学6年生までの子どもと保護者12家族33人です。午前は大会プログラムの配布、午後はゴールしたランナーへの参加賞配布を担当し、10,264人が出走した大会をささえました。

 活動後のアンケートでは、回答者10人全員が「親子でスポーツボランティア以外の地域活動・ボランティア活動に参加したい」との問いに肯定的に回答しました。回答数が限られるため一般化はできませんが、親子で地域に関わる体験が、子どもの成長だけでなく、保護者を含めた子育て世代の地域参加への第一歩となる可能性がうかがえる結果となりました。

地域活動に参加したくても参加しにくい子育て世代

地域活動やボランティアの担い手不足は、多くの自治体が抱える共通課題です。

総務省「令和3年社会生活基本調査」によると、ボランティア活動の行動者率は65~69歳が23.4%と最も高い一方、25~29歳は10.1%、30~34歳は12.4%にとどまっています。子育て世代・働き世代は、地域活動に関心があっても、休日は子どもの予定や家庭の都合が優先され、一人で参加することは容易ではありません。

丸亀市アクティブシティ推進プラットフォームでも、この「若い世代をどう地域へ巻き込むか」が大きな議論となりました。そこで着目したのが、「親子」という参加形態です。

地域活動への参加を単に呼び掛けるのではなく、親子で楽しみながら役割を担えるイベントとして設計することで、地域との新しい接点を生み出そうと考えました。

「朝5時に起きました」12家族33人が大会をささえた一日

2026年2月1日、朝7時。

四国化成MEGLIOスタジアム(香川県立丸亀競技場)に、12家族33人が集まりました。

「朝5時に起きました」「楽しみで寝られませんでした」

参加したのは、幼稚園・保育所の年長児から小学6年生までの子どもと、その保護者です。

子どもたちは、午前に大会プログラムを来場者へ手渡し、午後にはゴールしたランナーへ参加賞を配布しました。活動は7時から14時20分まで、約7時間にわたりました。

約1万人が参加する大会をささえる重要な役割を担いました。

「ありがとう」が、子どもたちの表情を変えた

活動前には、「知らない人に声を掛けられるかな」「ちゃんと役に立てるかな」と、不安を口にしていた子どもたち。しかし、大会が始まると、ランナーから「ありがとう」「助かったよ」「頑張って」といった言葉が次々とかけられました。

そのたびに子どもたちの表情は少しずつ変化し、自ら大きな声で挨拶や応援をしながら、笑顔でランナーと接する姿がみられるようになりました。

活動を終えた子どもたちからは、「ありがとうって言われて、うれしかった」「普段言われないような言葉を言ってくれて、うれしかった」「またやりたい」といった声が聞かれました。

多くの人から感謝の言葉を受け取った一日は、子どもたちにとって、自分の行動が誰かの役に立つことを実感する機会となりました。

7項目すべてで肯定的な回答が多数

活動後、参加者を対象にアンケートを実施し、10名から回答を得ました。

回答数が限られるため、統計的な代表性を示すものではありませんが、参加者の受け止めを知る手がかりとして結果を紹介します。

回答した10名では、子どもの成長や地域への理解、今後の参加意向などに関する7項目すべてで、肯定的な回答が中立・否定的な回答を上回りました。

特に、「子どもの成長を感じた」「地域やイベントへの理解が深まった」の2項目では、中立・否定的な回答はありませんでした。

事後の振り返りの会では、保護者から次のような声が寄せられました。

「家では見ない姿でした」「自分から声を掛けていて驚きました」「言われなくても挨拶をしていて、成長を感じました」「学校ではできない経験でした」「家族で誰かのために何かをする経験は、初めてだと思います」

注目したのは「また地域活動に参加したい」という変化

今回、特に注目したのは、今後の活動への参加意向です。

「また香川丸亀国際ハーフマラソンのボランティアに参加したい」だけでなく、「親子で別のスポーツボランティアに参加したい」「親子でスポーツボランティア以外の地域活動・ボランティア活動に参加したい」という項目でも、否定的な回答はみられませんでした。

一日のスポーツボランティア体験が、同じ大会への再参加だけでなく、スポーツ以外も含む地域活動全般への関心につながる可能性がうかがえます。親子で楽しみながら地域に関わる経験が、地域との継続的なつながりを生むのではないか。当初の仮説を支持する方向の結果となりました。

スポーツイベントは地域への入口になれる

今回見えてきたのは、スポーツイベントには競技や観戦だけではない価値があるということです。

スポーツイベントは、多様な世代や立場の人が集まる場です。その特徴を生かせば、子どもだけでなく、これまで地域活動へ参加する機会が少なかった子育て世代・働き世代にとっても、地域との新しい接点となります。地域活動は、人を集めることではなく、「最初の一歩」をどう設計するかが重要です。親子で参加できるスポーツイベントは、その第一歩を生み出す有効な仕組みになり得ます。

官民連携から生まれた新しいスポーツの価値

本取り組みは、丸亀市とSSFが進める「スポーツを通じた地域課題解決」の一環として実施しました。

企画には、丸亀市スポーツ推進課、地域づくり課、政策課のほか、丸亀市スポーツ協会、丸亀市社会福祉協議会、丸亀市観光協会など、多様な組織が参画しています。スポーツ関係者だけで企画するのではなく、異なる視点を持つ関係者が議論を重ねたことが、親子で地域をささえるプログラムの実現につながりました。

今回の実践は、スポーツイベントが子どもの成長だけでなく、子育て世代・働き世代を地域活動へ巻き込む入口となり得ることを示す、新たなモデルケースとなりました。

2本のドキュメンタリー映像を公開

「小学生が1万人の大人に出会った日」

「丸亀ハーフ親子ボランティア」で見えた、スポーツイベントが地域の担い手を育てる可能性

https://youtu.be/ZtPIId-atzs

取り組みが生まれた背景や関係者の議論、当日の活動などを通じて、スポーツイベントを地域の担い手育成に活用する可能性を紹介しています。

「『ありがとう』が、子どもを変えた。」

丸亀ハーフ親子ボランティア 成長ドキュメンタリー

https://youtu.be/jtuD_Yd8mqs

子どもたちや保護者へのインタビューを中心に、ボランティアを経験した子どもたちの表情や意識の変化を紹介しています。

実施概要

項目

内容

名称

丸亀ハーフ親子ボランティア

実施日

2026年2月1日(日)7:00〜14:20

会場

四国化成MEGLIOスタジアム(香川県立丸亀競技場)

(第78回香川丸亀国際ハーフマラソン)

大会出走者数

10,264人

参加者

12家族33人

丸亀市内在住の幼稚園・保育所の年長児〜小学6年生とその保護者

活動内容

午前:大会プログラム等の配布

午後:参加賞の配布

関連プログラム

事前説明会(2026年1月22日)

事後振り返りの会(2026年2月20日)

実施主体

(公財)笹川スポーツ財団(アクティブシティ推進事業)

参画団体

丸亀市スポーツ推進課・地域づくり課・政策課、(公財)丸亀市スポーツ協会、(社福)丸亀市社会福祉協議会、(一財)丸亀市観光協会、(公財)笹川スポーツ財団

【アクティブシティ推進事業について】

「アクティブシティ」とは、スポーツ・身体活動を通じて住民の健康を促進するとともに、関連する地域課題の解決に取り組むまちづくりの考え方です。

SSFでは、日本におけるアクティブシティを、スポーツ・運動、健康づくり、まちづくりに関わる組織や人々が協働し、住民一人ひとりのウェルビーイングの向上を目指すとともに、スポーツの多様な価値を活用して地域課題の解決に取り組むまちとしています。

本取り組みは、2024年12月に丸亀市と締結した連携協定に基づく「丸亀市アクティブシティ推進プラットフォーム」の活動から生まれました。

【アクティブシティ推進事業を構成する3つのプログラム】

①   アクティブシティ推進プラットフォーム

スポーツ関係組織とまちづくり関係者が集う官民連携のプラットフォームを核に、スポーツ推進や地域課題の解決に取り組みます。香川県丸亀市(2024年12月)、北海道名寄市(2025年6月)と連携協定を締結しています。

②   ACフェロー育成プログラム

スポーツによるアクティブなまちづくりを推進する人材に求められる知識・スキル・マインドを体系的に学ぶ研修プログラムです。各自治体から行政担当者とスポーツ推進団体関係者に1名ずつ参加してもらい、東京での集合研修を通じて学びを深めるとともに、現場に戻った後にも活かせる受講生同士、講師、SSFスタッフとのネットワークを築きます。

③   SSFアクティブチャレンジ ~スポーツで元気なまちづくり~

30年以上にわたり実施してきた全国イベント「チャレンジデー」の知見を基に再構築した、新たな住民総参加のスポーツプログラム。参加形態は、性別や年代、日頃の運動・スポーツ習慣に関係なく、多くの住民が参加できる「住民総参加型」と、スポーツを通じた社会課題解決に取り組む「社会課題解決型」の2種類です。

▼「アクティブシティ」公式ページ 

▼丸亀市アクティブシティ推進プラットフォーム

▼スポーツでアクティブなまちづくり_動画事例集 

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▼自治体担当者からの問い合わせ先

笹川スポーツ財団 

アクティブシティ推進グループ 宛

activecity@ssf.or.jp

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【関連情報】
丸亀市とSSFでは、アクティブシティ推進事業の一環として、2026年8月29日に「ボールパークフェスタ in まるがめ2026」を開催予定です。スポーツ施設を競技だけでなく、地域の交流やにぎわいの場として活用する新たな取り組みを進めています。

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