株式会社新潮社のプレスリリース
株式会社新潮社は、広尾晃さん『高野連』を本日7月17日(金)に新潮新書より発売いたします。
飛びすぎる金属バット、ピッチャーの投げすぎ、暑さ対策、繰り返される暴力問題、七回制の是非……。甲子園を巡っては、これまで数々の問題が指摘され、現在も議論が続いています。その中で、しばしば変革を拒む「悪の総本山」的な言われ方をするのが高野連です。
本書は、その組織が「実際のところはどうなっているのか」を探った一冊です。
実は、高野連には全国高野連と各都道府県の高野連がありますが、その関係は上下関係ではなく対等。しかも、各県高野連のトップを務めるのは、その県の教育界で出世を遂げてきた公立高校の校長先生たちで、彼らはしばしば野球経験すらありません。要するに「お飾り」で、現状維持バイアスが強く働く構造になっており、しかも現場の指導者の中には、情報化や現在のスポーツを取り巻く環境についてアップデートできていない人がたくさんいると、高校野球の現場を長く取材してきた著者は断じます。
そんな状況でも、飛びすぎ金属バット問題や球数制限、暑さ対策などにはなんとか対処してきました。高野連という組織は、いろいろな制約がある中でも、それなりに対策をとってきたことは確かです。
一方で、「汗と涙と青春のドラマ」が売りの甲子園というシステムが、いろんな面で限界を迎えていることも間違いありません。
著者が特に大きな問題点だと指摘するのは、高野連が教育組織としての立場から一歩も抜け出そうとせず、高校野球の裾野を拡げようという試みがまったくないことです。日本では子供たちの野球離れが激しいですが、甲子園のような人気コンテンツを有する高野連に、もっとやれることは何でしょうか。
アメリカの大学スポーツは近年、NCAA(全米体育協会)を介して規模と裾野を拡大し、選手によってはプロすらしのぐような収入を得ていますが、こうしたビジネスのサイクルを回すことでスポーツの拡大再生産が図られるわけです。「巨大コンテンツ」となっている春夏の甲子園大会をビジネス化すれば、そのお金を野球の維持・発展に使えますが、現状、高野連は甲子園大会の放映権も無料で提供し、阪神電鉄も球場使用料を徴取しないという「アマチュアリズム」が徹底しています。しかし、それでは先細りは確実ですから、「教育」の部分と「ビジネス」の部分をしっかりとわけて、稼ぐべきところでは稼ぐような仕組みを導入した方がいいはずだ、と著者は提言します。
本書では高野連の内実や歴史を描くだけでなく、「こうした方がいい」「改革の方向性はこうだ」という点にまで踏み込んで論じています。野球好きの皆さんにはハマる内容だと思います。
ぜひご一読ください。
■書籍紹介
飛びすぎる金属バット、球数制限、暑さ対策、7回制の導入……。汗と涙と青春の舞台、甲子園をめぐっては近年、さまざまな問題が指摘されているが、「改革を阻む最大の元凶は高野連」との見方は根強くある。果たして、高野連は本当に「悪の総本山」なのか。関係者への綿密な取材と歴史の検証によって、高校野球を取り巻く「問題」の本質を探り、あわせて改革の方向性を提言する。
■著者紹介:広尾晃(ヒロオ・コウ)
スポーツライター。1959年大阪府生まれ。立命館大学卒業後、広告制作会社勤務、旅行雑誌編集長などを経てライターに。著書に『巨人軍の巨人 馬場正平』『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『データ・ボール アナリストは野球をどう変えたのか』『野球の記録で話したい』などがある。
■書籍データ
【タイトル】高野連
【著者名】広尾晃
【発売日】2026年7月17日
【造本】新書
【本体定価】1,034円(税込)
【ISBN】978-4-10-611130-3