「スポーツ用品小売」市場、4年連続増加で1兆5,000億円突破 新たな顧客層の獲得が課題も 2026年は複数の国際大会による後押しに期待

「スポーツ用品小売」業界動向調査(2024年度)

株式会社帝国データバンクのプレスリリース

株式会社帝国データバンクは、全国の「スポーツ用品小売」市場について調査・分析を行った。

SUMMARY

2024年度のスポーツ用品小売市場の規模は1兆5,339億円。4年連続で増加し、1.5兆円を超えたのは初めて。コロナ禍は落ち込むも、スポーツイベントの再開や健康志向の高まりにより好調な状況が続いた。2025年度以降も、複数の国際大会開催により市場拡大が期待されるが、異常気象の影響や競技人口の減少が懸念される。

[調査対象] 主に「スポーツ用品小売」を手がける事業者が対象
[注] 業績等のデータについては、2026年1月時点における帝国データバンクが保有する企業概要ファイル(COSMOS2、約150万社収録)、および企業信用調査報告書(CCR、約200万社収録)などを基に集計した。


スポーツ用品小売市場、拡大続けて1.5兆円を超える

2024年度(2024年4月~2025年3月期決算)における「スポーツ用品小売」業界の市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度(1兆4,843億円)を3.3%上回る1兆5,339億円となり、4年連続で増加した。市場規模が1兆5,000億円を超えたのは初めて。

2024年度までを振り返ると、スポーツ用品小売市場はコロナ禍に悪化したものの、その後は回復を続け、コロナ禍前を上回っている。2019年度までは健康志向と東京五輪を控えたスポーツへの関心の高まりにより、市場規模は拡大を続け、2019年度の市場規模は1兆4,219億円となった。しかし、ゴルフ市場を中心に高齢化によるプレイヤーの減少が課題となっていた。

こうしたなかで、コロナ禍に入り、市場全体が冷え込んだ。小売店舗の営業時間短縮や休止に加え、スポーツイベントの延期や中止が相次ぎ、全国的な学校の休校、不要不急な外出の自粛などによりプロ、アマチュア、学生、一般層の関わる様々なスポーツにおいて活動の自粛を余儀なくされた。一方で、「3密」を避けやすい屋外スポーツとしてゴルフが認知されたほか、キャンプ人気もありアウトドア用品が伸長するきっかけとなった。それでも新型コロナによる落ち込みを補うことは出来ず、2020年度は前年度を6.2%下回る1兆3,331億円に落ち込んだ。

2021年度以降も学校での部活動やスポーツイベントの中止・縮小が続き、フィットネスジムなど屋内施設を敬遠する動きはあったものの、キャンプ用品やゴルフ用品は若い世代を取り込み、活況な市場環境が継続していた。その後、コロナ禍で市場が拡大したゴルフ用品やキャンプ用品、釣り具用品などのアウトドア用品の一巡感が現れ始め、在庫過多から値下げの強化により在庫処分を進める動きがみられた。一方で行動制限の緩和とともに東京五輪といった国際大会やスポーツイベントの再開による後押しもあり、スポーツ用品の需要も高まって2023年頃から回復傾向が続いた。

2024年度は社会活動の正常化によるスポーツ用品の需要回復に加え、コロナ前を上回るインバウンド需要の獲得により、市場規模は初めて1兆5,000億円を超えた。

各社の業績動向をみると、売上高では物価高による節約志向の高まりが価格重視の消費傾向に現れたことから、「前年度並み」(57.1%)が最も多く、「増収」は22.0%となった。損益面では、販売動向に応じたコスト管理を進め「増益」となった企業が39.1%と最も多く、前年度から3.0ポイント増加した。「赤字」(28.5%)と「減益」(28.3%)を合計した「業績悪化」の割合は56.8%と前年度から2.6ポイント低下した。


新たな顧客層の獲得が課題も、多数の国際大会に期待

スポーツ用品小売業界の今後の懸念事項は複数ある。屋外スポーツは天候不順に弱く、異常気象による影響が大きい。特にウインタースポーツは積雪量に左右され、降雪が少ない暖冬による減収リスクは高まっており、人気の低迷も相まって、不透明な状況だ。また、コロナ禍で需要が高まったゴルフや釣り具用品の低迷が懸念される。レジャーの多様化や消費動向の影響により、ビギナー層を中心とした市場拡大が一巡してきており、引き続き若年層の取り込みと定着が欠かせない。

しかし、2026年は複数の国際大会が行われ、追い風となることが期待される。2月6日にミラノ・コルティナ冬季五輪が開幕し、以降もワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やワールドカップ、アジア競技大会などが控えている。すでに野球用品においては、大谷翔平選手の活躍もあり、同選手のモデル商品の販売が好調とも聞かれ、スポーツへの関心はさらに高まるだろう。

スポーツ用品小売市場は、フリマサービスを利用したネット上での取引が拡大するなど販売競争が激化している。顧客需要の変化に対応しながら若年層やインバウンドなどの新たな顧客層を開拓し、採算性と効率の向上を進めていけば、2025年度以降も拡大を続けるとみられる。

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