TIAS、官民各界から多彩なゲストを招き SFTスポーツアカデミー形成支援事業Conferenceを開催

つくば国際スポーツアカデミーのプレスリリース

 つくば国際スポーツアカデミー(Tsukuba International Academy for Sport Studies:以下、TIAS)は、12月13日(金)筑波大学東京キャンパスで「SFTスポーツアカデミー形成支援事業『The Educational Legacy and TIAS Networking Conference』」を開催しました。

 TIASは、日本政府が推進するスポーツおよびオリンピック・パラリンピックムーブメント普及のための「Sport for Tomorrow」プログラムの一環として開設されました。まず2014年に開設された短期プログラムを73名が修了、続いて2015年に開設された大学院プログラムをこれまで55名が修了し、国内外各スポーツ機関や各国オリンピック・パラリンピック委員会、競技連盟、スポーツ管轄省庁などへ修了生を輩出、未来の国際スポーツ界の発展をけん引する人材育成プログラムとしての役割を果たしています。

 12月13日(金)に筑波大学東京キャンパスにて開催されたカンファレンスでは、真田久教授(筑波大学/TIASアカデミー長)に加え、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 ゲームズ・デリバリー・オフィサー 中村英正氏、アメリカ大使館 文化・スポーツ交流担当官 マイケル・ターナー氏、株式会社パナソニック ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化部部長 福田里香氏ら、産学官各界のスポーツシーンを牽引するキーパーソンが登壇しました。さらに、TIASを修了し既に世界のスポーツ界で活躍する修了生から今回は5名が登壇し、自身の発表に加え現役生らとグループ・ディスカッションを行うなど、TIASのもつネットワークの充実さを裏付けるカンファレンスとなりました。

 会場にはスポーツ関連団体・企業・アカデミア関係者らも多く聴講に訪れ、国際的なスポーツ人材育成の現状や重要性、東京2020以降を見据えた教育のレガシーについての議論に耳を傾けました。

 カンファレンス冒頭、開会挨拶を行った藤江陽子審議官(スポーツ庁)は、改めてSFTスポーツアカデミー形成支援事業の目的や背景、取り組みの重要性を説明した上で、スポーツ庁としても「2020年東京大会のレガシーとして、オリンピック・パラリンピック教育や国際スポーツ界で構築された人材ネットワークを継承・発展させていくことは極めて重要な課題」であるとの認識を示し、TIAS修了生が今後も国際スポーツ界の発展に貢献する事に対して期待を述べられました。

 基調講演「国際的なスポーツ経営人材育成とSFTスポーツアカデミー形成支援事業に期待すること」を行った中村英正氏(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 ゲームズ・デリバリー・オフィサー)は、東京2020大会における競技や会場、スポンサー、予算、サステナビリティに関する取り組みなどについて説明し、それぞれが違った関心を持ち多様なステークホルダーが関与する国際的スポーツイベントを開催する上では、「スポーツの世界に対する理解・知見」「マネジメント能力」「多様なステークホルダーとの調整力」に長けた人材が不可欠であるとし、それぞれ具体例を交えながら紹介しました。その上で、国際的なスポーツイベントは、イベントを作り上げる過程で、このような人材を育成する貴重な機会になる、そして一過性の打ち上げ花火で終わらせないよう貴重な人材をプールして次に生かしていく体系的な体制を構築していく必要があると述べられました。さらにTIASを筆頭としたスポーツやスポーツマネジメント能力について理解を深めることができる高度な教育が重要であるとの認識を示し、基調講演を締めくくりました。

 その後行われたパネルディスカッション「教育のレガシーについて-東京2020以降を見据えて-」では、初めに登壇した真田久教授(筑波大学)が、TIASの目的や開設以来これまでの概要を紹介。「修了生の活躍とTIASネットワークの充実」「IOC、IPC等国際スポーツ機関や各国政府との連携」などの成果を更に加速させるために、従来の国際スポーツ界のリーダーとして活躍できる人材育成プログラムをベースとしつつ、修了生を軸としたネットワークを活用する次のステージの教育「TIAS 2.0」を2020年10月より開始する構想を発表しました。

 続いて登壇したマイケル・ターナー氏(アメリカ大使館 文化・スポーツ交流担当官)は、東京 2020大会に向け、アメリカ大使館が東京都教育委員会との協力のもと展開する「Go for Gold」キャンペーンについて紹介。これまで両国の多くのリーダーが相互に訪問し学びの機会を得、理解を深めてきたことが日米の友情の礎であるとし、日本の未来のリーダー世代である小中高生らがアメリカに対する関心を寄せ訪米してもらう機会を多く創ることが重要だと述べました。その上でこのような交流を継続することが将来的にさらに日米の同盟関係を強固にするとし、2020年以降の「Go for Gold」キャンペーン継続についても検討していると結びました。

 最後に登壇した福田里香氏(株式会社パナソニックブランドコミュニケーション本部CSR・社会文化部部長)は、パナソニックが「A Better Life, A Better World」のブランドスローガンのもと、事業活動とともに行う社会貢献活動を実践する『企業市民活動』について紹介。グローバル企業として、世界的に関心の高いSDGsを取り上げ、中でも貧困をなくすというテーマのもとで展開する人材育成プログラムに取り組んでいることを説明。その一つである「オリンピックとパラリンピックに関する学び支援」の具体的な活動について、個人を尊重した持続可能社会の実現に貢献するために、子どもたちが必要とするライフスキルを開発するための学習支援を行う活動意義と成果について紹介しました。

 続いて、モデレーターに髙橋義雄准教授(筑波大学)を迎え、4者によるパネルディスカッションが行われました。東京 2020を契機にした教育のレガシーを継続していく上での課題やアイデアについて問われた真田教授は「『TIAS2.0』として2020年以降もプログラムを続けていく上で最も重要なのは、修了生に継続してTIASに関わってもらう事。TIASで育った人がいずれTIASで教え、人材育成に関わっていくという循環型が理想的だ」と述べました。

 民間企業としてオリンピック・パラリンピック教育をどう継続していくのかと問われた福田氏は「2015年以来、教育プログラムを受けた1,700校36万人の生徒にとっては、その経験や知識は一生残っていく、これこそがレガシーだと考えている。また2020年以降は、既存のプログラムをコンパクトで複合的なものにして継続していくほか、同様のプログラムを海外にも広げていきたい」と展望を語りました。

 またマイケル・ターナー氏は「一連の交流活動を通じて、生徒たちに良い影響を与える事ができたと望んでいる。人と人の繋がりこそ最良の関係構築であり、対話をする、互いに理解をするという事を一生続ける両国の関係性であることを願っている。また生徒たちに一方的に教えるだけでなく、大使館としても生徒たちから多くの学びを得る事ができた」と語りました。

 髙橋准教授が、このパネルディスカッションのように産官学の協力体制が極めて重要だと考えを示すと、福田氏が「民間企業としてできる事を行い社会に貢献していく中で、行政や大学からアドバイスや後押しをいただけるとありがたい」と述べたほか、真田教授は「オリンピック・パラリンピック教育を考えると、他者理解、異文化理解といった周囲に対して自分に何ができるか考える事が重要。世界的には自分本位な潮流がある中、そういう人材を育成していく」と語り、ディスカッションを締めくくりました。

 その後、TIASを修了した5名による発表「レガシープロジェクトに向けて」が行われ、マレーシア国立スポーツ研究所、ブラジルオリンピック委員会、インドスポーツ局など、既に世界のスポーツ界で活躍する5名が登壇しました。それぞれが現在担っている役割やポジションの紹介に加え、オリンピック・ムーブメントとその価値に対する深い理解促進、国際協力や連携、大学とスポーツマネジメントのユニークな融合など、TIASならではの学びや研究が、現在の活動にどう繋がっているのかについて発表しました。国際大会の舞台で修了生同士が仕事を共にした事や、TIASのネットワークから新たな仕事の機会を得た事など、5人の発表に共通していたのは、TIASを通じて得たネットワークがかけがえのないものだという事でした。

 続いてTIAS現役生も加わり、モデレーターにはラクワール ランディープ教授(筑波大学)を迎え、グループ・ディスカッション「TIASのつながりから学んだこと」が行われ、5グループに分かれた活発な議論が交わされ充実したセッションが展開されました。

 

 最後に閉会挨拶を務めたベントン・キャロライン副学長(筑波大学)は「産官学各界からゲストにお越しいただき、貴重な話を聞ける素晴らしいカンファレンスだった。今後もTIASのネットワークを活用し、より大きな枠組みでカンファレンスを開催していきたい」と述べ、3時間半に及んだカンファレンスを締めくくりました。

◆SFTスポーツアカデミー形成支援事業 The Educational Legacy and TIAS Networking Conference概要

日程: 2019年12月13日(金) 13:30~17:00

場所: 筑波大学東京キャンパス文京校舎

主催: 筑波大学 (つくば国際スポーツアカデミー(TIAS) ※スポーツ庁委託事業)

後援: 独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC) 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)

      公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPC)

    公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO) 公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)

    日本体育大学(NCDA) 鹿屋体育大学(NIFISA)

内容: 開会挨拶(藤江陽子審議官 スポーツ庁) 

    主催者挨拶(真田久教授 筑波大学)

    基調講演「国際的なスポーツ経営人材育成と

         SFTスポーツアカデミー形成支援事業に期待すること」

          (中村英正氏 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック

            競技大会組織委員会ゲームズ・デリバリー・オフィサー)

    パネルディスカッション「教育のレガシーについて-東京2020以降を見据えて-」

          (真田久教授 筑波大学)

          (マイケル・ターナー氏 アメリカ大使館 文化・スポーツ交流担当官)

          (福田里香氏 株式会社パナソニック ブランドコミュニケーション本部

            CSR・社会文化部 部長)

          (モデレーター:髙橋義雄准教授 筑波大学 )

    TIAS修了生による発表「レガシープロジェクトに向けて」

    グループ・ディスカッション「TIASのつながりから学んだこと」

          (TIAS修了生・現役生)

          (モデレーター:ラクワール ランディープ教授 筑波大学)等

    閉会挨拶(ベントン・キャロライン副学長 筑波大学)

◆つくば国際スポーツアカデミー(TIAS)とは

 TIASは、日本政府が推進するスポーツおよびオリンピック・パラリンピックムーブメント普及のための「Sport for Tomorrow」プログラムの一環であり、政府の全面的な支援を受けています。TIASの母体である筑波大学は、アジア初の国際オリンピック委員会(IOC)委員である嘉納治五郎を前身校の学長に持ち、100年以上にわたって日本のオリンピック・ムーブメントを牽引してきました。2020年オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、TIASでは、世界から選出された学生と交流し、オリンピック・パラリンピック教育をはじめ、最新のスポーツマネジメント、ティーチング・コーチングなど、幅広く学ぶことができます。 詳細については、http://tias.tsukuba.ac.jp/ をご覧ください。

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