学校法人 名城大学のプレスリリース
2分で分かる!幼児の運動発達を可視化する新ツールを開発
本件のポイント
・既存の代表的な運動能力評価ツールとの比較で妥当性が確認され、測定の信頼性も高く、運動発達を正確に評価可能。
・幼児教育・保育現場での使用を主な目的とし、保護者や保育者に幼児の「運動発達を見える化」することができる。家庭や地域イベントでの活用も可能。
概要
SMC-Kidsは、3~6歳の幼児を対象に、「10m折り返し走」と「紙ボール投げ」の2項目で構成されています。特別な用具を必要とせず、A4用紙や布ガムテープ、巻尺、ストップウォッチだけで測定が可能です。妥当性(※2)の検証では、既存の代表的な評価ツールTGMD-3と比較して、移動能力や操作能力において中程度から高い相関が認められ、信頼性(※3)の検証では評価者間および評価者内で非常に高い再現性が確認されました。
20人のクラスなら20分程度で完了する効率性を持つSMC-Kidsは、バドミントンコートよりも少し広いスペースがあれば導入できる手軽さが特徴です。その簡便さから保育現場での活用はもちろん、家庭や地域イベントでの利用も可能であり、幼児の運動発達をモニタリングし、保護者や保育者が子どもの成長を具体的に把握・支援する有用なツールとなる可能性が示されました。
本研究成果は、2024年12月19日付でSports Medicine Australia(オーストラリアスポーツ医学会)が発行している「Journal of Science and Medicine in Sport」にpre-proof版が公開されました(最終版ではありませんが、DOIを用いて正式に引用可能です)。
研究の背景
研究内容
妥当性の検証として、既存の代表的な運動能力評価ツールであるTest of Gross Motor Development-3 (TGMD-3)とSMC-Kidsを同じ幼児71人で測定し、関連を分析しました。その結果、10m折り返し走はTGMD-3の移動技能総合得点(走る、ギャロップ、片足跳び、スキップ、両足跳び、サイドステップ)と中程度の相関を示し、紙ボール投げはTGMD-3のボール技能総合得点(バッティング、ラケット片手打ち、ボールつき、キャッチ、キック、オーバーハンドスロー、アンダーハンドスロー)と高い相関を示すことが明らかになりました。このことから、SMC-Kidsが幼児の移動能力と操作能力を適切に評価できるツールであることが示されました(図1)。
これらの検証結果から、SMC-Kidsは、幼児の運動能力を簡便かつ正確に評価できる、実用性の高いツールであることが示されました。
今後の展開
用語の解説
(※2)妥当性:測定結果が実際に測定しようとしている能力(ここでは運動能力)を正確に反映しているかどうかを示す指標。TGMD-3との相関をもとに検証された。
(※3)信頼性:同じ条件で測定を繰り返した際に、結果がどの程度一貫しているかを示す。評価者間(異なる評価者が測定した場合)と評価者内(同一評価者が繰り返し測定した場合)で検証された。
研究資金
掲載論文
(簡便な幼児の運動能力評価ツール(SMC-Kids)の妥当性および信頼性)
著 者 Keisuke Komura, Tomohiro Demura, Yusaku Ogura, Akira Kyan, Ryota Nawata, Kousuke Takahashi, Ryo Matsuura
掲載誌 Journal of Science and Medicine in Sport
掲載日 2024年12月19日
問い合わせ先
研究に関すること
報道に関すること
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