対話の中で生まれた、障がい者水泳の発表会を開催

誰もが自分らしく参加できるウェルビーイングな環境

一般社団法人日本障がい者スイミング協会のプレスリリース

パラアーティスティックスイミングの部に参加した選手の演技。

一般社団法人日本障がい者スイミング協会は、都内で障がい者水泳の発表会を開催しました。

この発表会は、プールという場を活用して、

誰もが自分らしく披露できる安心な場として、

従来のパラ水泳の競技規則や介助の規則等にとらわれず、

主体的にご参加いただける環境を大切にしています。

日々の活動のモチベーション維持や社会参加のきっかけとして、

会員様等に参加をいただいております。

一般社団法人日本障がい者スイミング協会とは

「日常生活支援」が中心のプール活動を通じて、

障がいの種類や程度、難病など様々な理由に関わらず、

個性や特性に合わせた個別支援をしています。

それを叶える支援員の養成と共生社会の形成を目指しています。

※「先生」「コーチ」ではなく、水泳も福祉も両方できるので「支援員」と呼んでいます。

(海外)韓国新聞、フランス新聞など

(国内)朝日新聞、東京新聞、「未来につなぐエール(テレビ朝日、BS朝日)」放送など

パラ水泳のルールでは、参加したくてもできなかった

障害者が対象の大会は障害者手帳の所持が基準となり、障害者手帳の発行がない発達障害児などの子供の参加できる大会がほとんどありません。

さらにそれらは「大会」という趣旨が多く、日ごろの頑張りを発揮するような初心者向けの「記録会」や「発表会」という趣旨の企画は少なく、「その泳ぎ方ではだめ」「その介助者の介助の方法では参加できない」などの制約が多く、本来なら「参加することも精一杯がんばっている」子供達のその努力を認めてもらえる場がないのです。

分かりやすい例えでは、重度の肢体不自由により介助者や浮き具があれば泳げるにも関わらず、とある大会ではそのやり方が禁止されており、泳げるけれど競技規則に則ることが難しく参加できないのです。

知的障害があり、視覚的な支援なら得意な人がいます。数メートル先に介助者が立ち合図を出せば、その合図で「こっちに泳ぐんだ!」と分かる子供がいます。しかし、泳者の前に人がいることで水流が作られるという懸念から(どれだけ離れていても)断られることもあります。

スポーツとしての大会であればフェアにするためにルールは必ず必要となります。

ですが、ウェルビーイングや共生社会を考えた場合、スポーツ主体とは別の視点の入り口や環境の設定も必要になってきているのです。競技趣向なのか、ウェルビーイング趣向なのか、のように色々な環境があり、選択肢がある社会があることで、様々な人がそれぞれの形の社会参加が叶うのです。

家族の思い出を作りたい

現在、水泳の大会について、障害者は障害者が対象の記録会へ、健常者は健常者の記録会へ案内されることが基本です。もちろんクラス分けが関わるような競技会ではそれぞれの公平性を担保するためのルールがあるのですが、日常的に水泳を楽しんでいる子供のための地域イベントでインクルーシブになっている機会はまだまだ多くありません。日頃から水泳を楽しんでいる子供や生活支援がモットーの子供達が、自分らしさを発揮できる場としてはハードルが高すぎるのです。家族やきょうだいで大会に出たくても、一緒の大会に出て思い出を作ることができないことも多くあります。

このように、共生社会や多様性が叫ばれるようになってきた現在でも、地域の大会に参加ができない人は多いのです。

科学的な裏付けから、体系立てられた水中療育や障害者水泳指導・支援を展開している

障害当事者、家族からの声から生まれた発表会

通常のイベントでは更衣室での着替えが困難だったり、多動性により待つことが難しく参加を懸念していたりと、障害当事者(ご本人)やその家族は様々な事情を抱えています。それを一つ一つ検証し、施設環境や会の流れを細かく設定し、「安心して過ごせる場」という発表会の企画が生まれました。

そしてこの企画の趣旨を深く理解してくださる都内のスポーツ施設も見つかり、開催が決まりました。

発表会環境を調整することで、保護者が安心するとその気持ちは子供にも伝わります。手作り感のある会ではありますが、装飾がシンプルな分目の前のことに集中がしやすく、居心地の良い空間であれば子供は落ち着いて自然とルールを守って過ごせるのです。特に知的・発達障害のある場合は、目に見えないルールは分かりづらいため、目に見える空間で調整していくだけでもかなりの効果があるのです。

介助者同伴での参加。介助方法の制限はなく、本人主体を守りながら普段の練習と同じ泳法で参加ができる

新たな目標が見つかった

これまでイベントでは周りに人がいて落ち着かない子供や、これまでの経験によりイベントへの参加に抵抗のある参加者もいましたが、ここで過ごした経験から新たな目標を見つける参加者も多くいます。

「あの子みたいに泳ぎたい」

「私もあんなふうになりたい」

「次は●●大会に参加してみたい」

と言った声は多く聞かれました。

また、保護者や介助者からは、普段会うことがない他の参加者との繋がりが生まれ、情報交換をしたり、色々な泳ぎ方やその支援方法を知る良いきっかけになったという声もありました。

今年で4回目となった発表会ですが、今後もこのイベントを通じて、参加者それぞれの自立支援や発育支援をはじめ、ウェルビーイング等に寄与したいと考えています。

パラアーティスティックスイミングのデュエット。演技の途中での浮き具の取り外しも可能としたため、参加の対象範囲が広がる。

発表会概要

【日時】9/23(祝月)10:00〜11:00

【場所】都内スポーツクラブ

【内容】スイムの部、アーティスティックスイミングの部、パフォーマンスの部

【主催】一般社団法人日本障がい者スイミング協会

https://jpasa.net/

集合写真。準備での合理的配慮は欠かせない

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。