LGBTQ+インクルーシブな日本ラグビー界を目指して。プライドハウス東京が日本ラグビーフットボール協会及びジャパンラグビーリーグワンと包括協定を締結。

特定非営利活動法人プライドハウス東京のプレスリリース

12月4日、文部科学省にて三者による記者会見を実施しました。現役ラグビー選手の村上愛梨選手(横河武蔵野アルテミ・スターズ)と渡邊彪亮選手(豊田自動織機シャトルズ愛知)からのコメントも。

東京2020大会を契機にスタートしたプライドハウス東京コンソーシアムは、2023年にNPO法人プライドハウス東京(以下、プライドハウス東京)を設立し、性自認や性的指向、性別表現に関わらず誰もが自分らしく活躍できるスポーツ界と社会の実現に向けて、スポーツ関連団体やアスリートと連携しながら取り組みを進めてきました。

この度、法務省人権擁護機関が定める「人権週間」(12月4日~12月10日)の初日となる12月4日(於:文部科学省記者会見室)に、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(以下、JRFU)及び一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン(以下、JRLO)と包括協定を締結いたしました。

  •  包括協定締結の背景

日本ラグビー界では、文化的・社会的背景が異なる多くの選手が活躍しています。JRFUでは、2021年に「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進宣言※1」を公表し、JRLOでも組織バリューとして「多様性の尊重」と「包摂の精神」を掲げています※2。プライドハウス東京は、JRFU及びJRLOとともに、これまでも役員や職員に向けたLGBTQ+研修の実施やラグビーの大会を通じたLGBTQ+の情報発信といった取り組みを行ってきました。

アスリート・指導者・大会関係者・クラブ・企業・ファンなど、日本のラグビーに関わるすべての人が、性自認や性的指向、性別表現に関わらず、安心・安全に自分らしくラグビー競技に関われる環境をつくること、そしてその社会づくりに、ラグビーやアスリートの持つ力を最大限活用して貢献することを目指し、一層の連携・協力を図るべく、本協定を締結いたします。

※1 日本ラグビーフットボール協会「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I) 推進宣言」(2021/9/15):https://www.rugby-japan.jp/news/2021/09/15/50941

 ※2 ジャパンラグビーリーグワン公式ウェブサイト: https://league-one.jp/content/about/

  • 包括協定の主な内容

▶日本ラグビーフットボール協会

– アスリート・指導者・ラグビーの大会・試合等の運営者・関係者への性の多様性に関する知識の普及啓発

– ラグビーの大会・試合等、その他のイベントの場を活⽤した、性の多様性に関する知識の発信と啓発(チラシ配布など)

–  JRFU職員や育成部門の部門員、指導者等の関係者へのLGBTQ+に関する講習 等

▶ジャパンラグビーリーグワン

– リーグワン参加チームの選手・スタッフ、その他リーグワン関係者へのLGBTQ+に関する知識の普及・啓発

– ⼤会や試合等その他のイベントの場を活⽤したLGBTQ+に関する啓発・情報発信(例:LGBTQ+に関する啓発ブースの設置やチラシ配布 など)

–  研修会やセミナー、勉強会におけるリーグワン参加チームの選手・スタッフ、その他リーグワン関係者への講習

–  アスリートと連携したLGBTQ+に関する啓発・情報発信(例:メッセージ動画やイベントへの出演)

–  ラグビー現場に見られるLGBTQ+に関する調査研究 等

  • 各団体代表者及び選手のコメント

(記者会見当日のコメントを引用)

池口 徳也 氏(JRFU 共同最高事業統括責任者)

「今回、プライドハウス東京と日本ラグビーフットボール協会で包括協定を締結できたことを大変喜ばしく思っております。ラグビー協会では”JAPAN RUGBY 2050”という中長期の計画の中においても、『ラグビーが、世界一身近にある国へ』というミッションを掲げています。その中で、『誰でも、いつでも、どこでも楽しめるラグビー社会をつくる』ということに取り組んでおります。また、2011年に、『ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言』をいたしました。その中で、多様性を相互に認め合い、共生社会を推進していくということを挙げております。日本ラグビーフットボール協会は、プライドハウス東京様と連携して、だれもが住みやすい、そして歩きやすい社会をつくっていきたいと思います」

東海林 一 氏(JRLO 専務理事)

「本日、プライドハウス東京とジャパンラグビーリーグワンで包括協定を結ばせていただきましたこと、ここで感謝申し上げます。ジャパンラグビーリーグワンは、『みんなのために FOR ALL』をバリューとして掲げています。ラグビーの多様性の精神を以てラグビーの価値をより多くの方にお届けしたい、そしてより良い社会をつくっていきたいという私たちの思いを提示しております。こうした私たちにとって、LGBTQ+のテーマは非常に大切です。今回、プライドハウス東京様と包括協定を結ばせていただくことで、我々といたしましては、今まで以上にLGBTQ+について学ばせていただき、そしてラグビーの場から積極的な発信をしていきたいと思います。その結果、プライドハウス東京様とJRFU、JRLOが一丸となって、より良いオープンな社会の実現、ということを共に進めていきたいと思います」

渡邊 彪亮選手(ラグビー選手/豊田自動織機シャトルズ愛知)

※ビデオメッセージにてコメント

「この度は、プライドハウス東京、日本ラグビーフットボール協会、ジャパンラグビーリーグワンの包括協定の締結、誠におめでとうございます。僕自身、今チームメイトにゲイであることをカミングアウトして活動しています。やはり、学生時代や社会人はじめのカミングアウトしていなかった頃は、好きなラグビーをしていてもどこか自分の居場所を感じられなかったり、大好きなチームメイトといてもどこか嘘をついているような感覚があり、疎外感や寂しい思いをすることが多かったです。カミングアウトしてからは、自分らしくラグビーをできているなと感じています。一概にカミングアウトをすべきという話ではありませんが、この包括協定の締結をきっかけに、LGBTQ+当事者の皆さんがより自分らしく活動できる機会が増えれば良いなと思います。また、ラグビー界、ひいてはスポーツ界がより当事者にとって、活動しやすく笑顔で温かい環境になることを切実に願っています。これからも当事者のラグビー選手、そしてアライアスリートとして、(LGBTQ+)当事者のために、またアライアスリートを増やせるような活動を皆さまと共に頑張っていきたいなと思っています。一緒に頑張っていきましょう」

野口 亜弥 氏(プライドハウス東京共同代表)

 「この度は包括協定を締結させていただき、誠にありがとうございます。プライドハウス東京は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機にスタートしたプロジェクトです。『プライドハウス』は、国際スポーツ競技大会の開催地において、地元のLGBTQ+に関するNPOが安心、安全なスペースをつくるという、スポーツの中での世界的なLGBTQ+ムーブメントです。それを東京2020大会の時に実施しようということで、『プライドハウス東京』が始まりました。ですが、実は、2019年のラグビーワールドカップの時に、日本ではじめてのプライドハウスを試験的に実施いたしました。ラグビーの大会が、日本ではじめてのプライドハウスの実施となります。これまでも、皆さまとラグビーにおける取り組みを実施してまいりましたが、今回の包括協定を通じて、JRFU様、そしてJRLO様と一層連帯しより強固な活動をしていけることを嬉しく思っています」

村上 愛梨 氏(プライドハウス東京アスリート発信チーム理事/

ラグビー選手/横河武蔵野アルテミ・スターズ所属)

「私自身、LGBTQ+の当事者でもあり、学生時代に差別や偏見を経験してきました。そのような経験から、LGBTQ+であるということはずっと隠して生きてきました。26歳の時に、バスケットボールからラグビーに転向して、素晴らしい環境、仲間、チームに出会い、居場所を見つけることができました。そこで自分の話ができるようになり、カミングアウトすることにしました。このような日を迎えられたことに本当に感謝しております。私自身も、これからまだまだラグビー人生が続きますので、LGBTQ+の活動も一生懸命頑張っていきたいと思います」

  • 「プライドハウス東京レガシー」とは

 「プライドハウス東京レガシー」では、いかなる性のあり方の人も尊重する安心・安全な居場所づくりをコンセプトに、運営を行なっています。誰もが自分らしく暮らせる社会を目指します。

◎公式ホームページ:https://pridehouse.jp/legacy/

  • 「プライドハウス東京」コンソーシアムとは

「プライドハウス東京」は、LGBTQ+やソーシャル関連の活動を行うNPOや個人、企業や大使館とともに、「教育・多様性発信」「文化・歴史・アーカイブ」「ウェルネス・サポート」「アスリート発信」「祝祭・スポーツイベント・ボランティア」「居場所づくり」「仕組みづくり」「レガシー運営チーム」という個別テーマを掲げた8つのチームにわかれ、協働プログラムを企画・実施しています。

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