一般社団法人日本フットサルトップリーグのプレスリリース
■すみだ戦のゴールはすごかった
──8・9月のFリーグ月間MVPの受賞おめでとうございます!この2カ月の6試合で11ゴールを挙げました。今のお気持ちはいかがでしょうか?
今までこうしたFリーグの賞に縁がなかったので、率直にうれしいです。
──一気に得点数を伸ばしましたが、大きな変化があったのでしょうか?
開幕戦は1点を決めましたが、その後はゴールから遠ざかっていました。この2カ月で点が取れるようになったのは、チーム、監督がやりたいフットサルを体現でき始めたからですね。
──本石選手がゴールを決めることでチームが良くなっていった側面も大きいですよね。
その感覚は、両方あります。僕が点を取れているのも、セットプレーやこぼれ球からのワンタッチゴールが多いので、そこはチームでやりたいことがはっきりしているからです。チームのみんながパスをくれるので、そこに信じて走り込んで合わせるゴールが多くなっています。
それをきっちり決めるのが僕の役割の一つですし、それでチームを勢い付けたり、勝利へ導いたりすることには自信を持っています。
──ちょうどこの2カ月くらいで関係がより深まっていったのでしょうか?
僕はリーグ開幕前のオーシャンカップ中に怪我をしていて、練習もできなかったので、シーズン序盤は遅れをとったところがあります。そういう意味でも、最初は大阪との開幕戦でゴールを取れましたけど、連係はまだまだ足りないと感じていました。
そこがどんどん構築されてきて、目に見える結果として出てきて、チームが勝ち始めて、点が取れてきて……それが8月、9月だったと思います。
──あらゆる形のゴールがありましたが印象に残っているものはありますか?
ゴラッソという部分では、すみだ戦で、左サイドで1対1を仕掛けて、縦に抜いてニア上に決めたゴールが、自分的にもすごいシュートが入ったなという感じでした。
──すごいゴールでしたね。あの場面、FリーグTVの実況・福田悠さんが決まったことに気がつかないほど、一瞬でした。しかもゴール後にほとんど喜んでいなかったので(笑)。
会場も歓声があんまりなく、静まり返っていましたね。たぶん、シュートがゴールに貼ってある幕に絡まって落ちてこなかったこともあって、外れたか裏の壁に当たったと思っていたようです。僕はゴールに入ったところを見ていたのでわかっていたんですけど、最初に駆け寄ってくれた(石田)健太郎とかも「入ったの!?」って驚いていました(笑)。
──歓喜もほとんどなく。
その時は負けていたので、もっとやれるぞという気持ちで、喜ばずに、また次に盛り返そうという気持ちでしたね。ベンチに帰ったら、みんな「マジ入ったかわかんなかった」っていう話をしていたので、会場も実況の福田さんと同じ感じになっていたのかもしれないですね。
──あのゴールはイメージ通りでしたか?
去年、僕が大分にいた時に浦安のホームで対戦した際にも同じようなシチュエーションがあって、本当に同じ形で、同じところに決めたゴールだったのでそれを思い出しました。
その時のゴレイロが(ピレス・)イゴールだったので、今回のゴールで駆け寄って来てくれた際に「去年と一緒だね」って覚えていて、その話をしました。
──北九州戦では4得点を決めました。本石選手はFリーグでのハットトリック自体が初めてでしたが、それをさらに超える4得点でした。
Fリーグで5年くらいやっていますけど、複数得点できることはあまりなくて、1点決めて、たまに2点決められたら上出来という感じでした。3点でも上出来なのに、さらにもう1点を決められたことは自分でも初めてで、不思議な感覚でした。
──それだけ決めると、打てば入るような気分だったのではないかと思います。
ゴールが入る時はいつも、「決めてやろう!」という強い気持ちではないんです。ほとんどの場合は力が抜けて、リラックスした時に入っているイメージです。なので、この4点も決して強いシュートや上に打ったシュートではなく、ほぼゴロで打っていました。
本当にリラックスしていて、空いているところに流し込んだり、味方のパスに当てるだけだったりという感じ。「ゴールを取るんだ」という意識はありますけど、それにとらわれすぎることなく、うまく力が抜けた感じで決めることができましたね。
──ゴールに向かう状態が良さそうですね。
走ればパスが来るというのがいいですよね。練習中も、僕がここに走ればボールが来るという信頼関係は、シーズン序盤よりも浸透してきましたし、関係を構築できていると思います。
■チームが上に行くためにもパスが必要
──今シーズンの開幕前に取材させていただいた時も「結果にこだわる」と話していました。2024年のワールドカップに向けても、まずはクラブで結果を出す、と。今振り返ると、その言葉は決して気負った感じではなかったようにも感じています。
全部つながっていると思います。日本代表にいきたい、そのためにも結果を残すという気持ちはもちろん大事ですけど、まずはチームがあり、そこでいいパフォーマンスを出すこと。そのためにも味方と連係を合わす必要がある。それがあっての日本代表だと思います。
──まずはチームで、ということですよね。
ゴールは仲間があってこそ奪えるものなので、ここにボールがほしいとか、ここに出すから走ってくれとコミュニケーションを取ることで、自ずと点が取れる、いいサイクルができています。それがたとえ練習試合でも、Fリーグでも、根底には「ゴールを決めたい」という気持ちはありますし、それは全員が持っているものだと思います。ただし、気負いすぎず、チームで合わせないといけない。それが一番です。それをできないとゴールも生まれないですね。
──本石選手はアシストも多いですよね。
今まではゴールよりアシストのほうが上回るシーズンが多かったですね。町田でも大分でもそうでした。ゴールした時も気持ちいいですが、自分のアシストで味方が決めてくれると、それも気持ちいい。自分でボールを持って決めるのも好きですけど、自分のパスで誰かが決めてくれるのも好きです。チームのために味方を生かさないと、チームで生き残っていけないですからね。「自分が、自分が」となるのも悪いことではないですけど、味方のためにパスを出せることは、チームが上に行くためにも必要だと、フットサルを始めた時から思っています。
──浦安だと、そのパスを長坂拓海選手がよく決めている印象です。
信じて走り込んでくれるので、僕は信じてパスを出すだけです。決めてくれるっていう信頼関係があるので、自分の確率が低い時はより確実なほうを選んで、チーム全体のゴール数を伸ばしていく。これが一番勝ちにつながると思いますし、意識していることです。
■日本代表の強度を忘れないように
──日本代表候補合宿が終わり、翌日からはAFCフットサルアジアカップ2024 1次予選に向けたサポートメンバーとして引き続きトレーニングに参加していました。いかがでしたか?
1年4カ月ぶりに候補合宿に選んでもらい、あのエンブレムをつけてプレーできることが本当にうれしかったですし、自分をより奮い立たせることができました。
他のチームの主力の選手、活躍している選手と会って、トレーニングするなかで、お互いにいろいろなコミュニケーションを取るのが久しぶりで、幸せだなと思いましたね。
──久しぶりに選ばれた時はどんな気持ちでしたか?
率直にうれしかったのですが、欲を言えばもちろん、AFCフットサルアジアカップ2024 1次予選のメンバーに入りたかったです。少しずつ結果を出せていた分、ちょっと悔しい気持ちはあります。
今の代表のコンセプトを少しでも理解できるいい機会ですし、そこでアピールして、絶対メンバーに食い込んでやろうと、上にいくための最初の一歩だと思って臨みました。
──サポートメンバーに残れるという話は聞いていたんですか?
それは最初の合宿にいた選手はみんな言われていたと思います。海外組(の3人)がいないので、何人かは残ってもらう可能性があるということは聞いていました。
──そこからサポートメンバーとして参加してみていかがでしたか?
全然、違いますね。強度、個人の技術はそれまでとは違うものでした。正直、日常では出せていない強度だと感じました。若手の合宿も本当に強度が高く、みんなハードワークしていたんですけど、それを上回っていましたね。それには少し驚きもあったのですが、これを基準にしないとここには入れないと思ったので、頑張りました。
──国内合宿の最終日には、木暮監督が本石選手とナカマツ・ルアン選手、中村充選手のサポートメンバー3人を呼んで話していました。どんなことを伝えられたのでしょうか。
「サポートメンバーとして難しい心境もあっただろうけど、3人がいなかったらこの合宿は成り立っていなかったし、取り組む姿勢もよかった。ありがとう」と伝えてもらいました。
──実際に、3人がいないと成り立たない強度でしたね。
久しぶりにこの強度でやったのですが、やっぱりこのなかでやれたら、絶対にもっとうまくなれるし、強くなると思います。これを忘れないようにしたいですね。
■本当に、勝つことだけに集中していく
──ところで、本石選手はプレー中にズボンを捲し上げていますよね。どんな理由が?
ちょっと、パンツがデカいんです(笑)。上はLサイズでオッケーなんですけど、ケツがデカイからか下はOサイズで発注されていたようで、上と下でサイズが違うんです。
──なるほど。
僕はピチピチで着たいんですけど、裾が少し長いんですよね。ヒラヒラするのがあんまり好きではないので、なびかないようにスパッツの中に織り込むようにして捲っています。
──そうだったんですね(笑)。特に左足を捲り上げているイメージも。
気づいたら落ちているので、それで直す感じです(笑)。右膝にテーピングを巻いていて、裾があたると剥がれちゃうので気にしながら上げたり。試合終盤は両方、上げてます。
──すごい太ももだなといつも驚愕しています……。
見せつけたいとかはないんですけどね(笑)。そのほうが動きやすいので。でも、加藤(竜馬)選手のほうがすごいですよ。太ももとケツが、めちゃくちゃゴツいですから。
──そうなんですね(笑)。では改めて、シーズン終盤戦の目標をお聞かせください。
残り全勝すれば、上位リーグはもちろん、去年より上にいける可能性もあるはずです。1戦1戦、本当にどの相手にも負けられません。逆に、一つ落としたら一気に落ちてしまう可能性もあります。今シーズンは特にひしめき合っている分、序盤は落としてはいけない試合を落として苦しくしてしまいました。残りの試合は全部勝って、上位に食い込めるように。そうすればこのチームから代表にいける選手も増えると思いますし、チームを勝たせていきたいです。
──今まで以上に本石選手のゴールが重要になりますね。
自分はゴールに一番近いところにいるので、チームでゴールをたくさんとって、勝つ試合を届けたいです。ファン・サポーターの方にも喜んでもらいたいですし、僕ら個人としても結果を残すために、もっと勝たないといけない。本当に、勝つことだけに集中していきます。
──得点王も見えてきています。そこへの意識はいかがですか?
4点を取って一気に2位まで上がったのですが、これまでは勝つことだけに集中していたので気にしていませんでした。今は、狙えるなら狙っていきたいと思っています。
──最後にファン・サポーターへのメッセージをお願いします。
8・9月の月間MVPは一人では絶対に取れなかったですし、チームメイトや監督、スタッフ、ファン・サポーターの浦安ファミリー全員のおかげで受賞できたものだと思っています。
今シーズンはホームでなかなか勝ちきれない試合が多いですが、これからはホームゲームも多いので、みなさんの前でしっかりと勝利を届けられるように。僕らも必死に戦うので、アリーナに来ていただいて、赤く染まったアリーナで、勝利をみなさんと分かち合いたいです。
ぜひ、会場で僕らと一緒に戦ってもらえたらうれしいです。
インタビュー・文=本田好伸、大西浩太郎(SAL:http://f-sal.com/)
※インタビューは10月2日に実施しました
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