車いすバスケットボールの香西宏昭選手が、国際パラリンピック委員会公認教材『I’mPOSSIBLE(アイムポッシブル)』日本版の初代アスリートアンバサダーに就任

日本パラリンピック委員会(JPC)『I’mPOSSIBLE』日本版事務局のプレスリリース

国際パラリンピック委員会(IPC)公認教材『I’mPOSSIBLE』日本版は、パラリンピックを題材に、多様性が尊重されたインクルーシブな世界の実現を目指し、「気づき、考え、行動を起こす」資質を育むために活用できる教材です。このたび、日本パラリンピック委員会(JPC)『I’mPOSSIBLE』日本版事務局ではアスリートアンバサダー制度を設立。初代アンバサダーに東京2020パラリンピック競技大会 車いすバスケットボールで銀メダルを獲得した香西宏昭(こうざいひろあき)選手が就任しました。

  • 香西宏昭選手『I’mPOSSIBLE』日本版アスリートアンバサダー就任の背景  

香西選手は、長い海外生活を終え2022年から日本を拠点に移し、本業であるアスリート活動の傍ら、子どもたちを対象に車いすバスケットボールアカデミーを始めました。2020東京大会を契機に障害のある子どもたちがスポーツをする機会が増えてきているものの、継続と積み重ねを通じて自分の目標に向かえる場が少ないことに問題意識を持ちました。そこで、障害のあるなしに関わらず、子どもたちが自分の成長を感じ、自身の可能性や選択肢を広げていけるような活動の場を提供したいと考えました。

『I’mPOSSIBLE』日本版の教材では、香西選手のアスリートとしての姿を通じて、パラリンピックの4つの価値(勇気、強い意志、インスピレーション、公平)のうち「勇気」「強い意志」について考える授業を展開してきました。多くの子どもたちと未来を創る活動を展開している同選手の姿は「インスピレーション」を与え、メッセージには、「公平」を含むパラリンピックの価値や、パラリンピックが目指す「インクルージョン(誰も排除しないこと)」が体現されています。香西選手に『I’mPOSSIBLE』日本版教材の普及啓発活動に関わっていただくことで、多様性が尊重されたインクルーシブな社会づくりの理解者が増え、その動きを加速できると考えました。

左)東京2020パラリンピック競技大会では、男子日本チームの銀メダル獲得に貢献した香西選手
右)アスリート活動の傍ら、子どもたちに向けた講演や体験会などの活動を積極的に行っている

  • 香西宏昭選手 アンバサダー就任コメント

小さい頃は、自分の未来の選択肢があると想像ができなかったのですが、車いすバスケを通じて留学をしたことで、様々な方々に出会い、多くの挑戦をさせていただきました。しかし、これは自分自身が環境に恵まれていたためであり、いまだにそのような機会がない障害のある子どもたちがたくさんいることにも気づきました。社会環境を変えていくことで、どんな人でも自分のやりたいことに向き合える、それが当たり前のこととしてできる社会であるように、『I’mPOSSIBLE』日本版と共に、その実現に向けた活動の一翼を担える場をいただいたことを光栄に思います!

*香西選手のアンバサダー就任にあたり、海外生活での経験や子どもたちへの思いなどをお聞きした特別インタビューを『I’mPOSSIBLE』日本版HPにて近日公開予定です。JPCのSNS等でお知らせいたします。

☆『I’mPOSSIBLE』公式サイト|https://www.parasports.or.jp/paralympic/iampossible/

  • 『I’mPOSSIBLE』日本版アスリートアンバサダーの活動予定

『I’mPOSSIBLE』日本版に関連するイベントやメッセージ動画などに登場し、パラリンピアンの立場から、パラリンピック教育の意義や、「環境を整えたり、人の意識を変えたりすれば、できることが増える」という考え方を発信します。

*『I’mPOSSIBLE』日本版アスリートアンバサダーの学校訪問のリクエストは、現在受け付けておりません。

  • 香西宏昭選手 プロフィール

香西宏昭 プロ車いすバスケットボール選手 

東京2020パラリンピックで銀メダル獲得。国内所属チーム「NO EXCUSE(ノーエクスキューズ)」

1988年生・千葉県出身。先天性両下肢欠損(膝上)

12歳の時に車いすバスケットボールを始め、高校1年でU-23日本代表。卒業後、米イリノイ大学に留学しシーズンMVPを2年連続受賞。大学卒業後、ドイツ1部リーグ・ブンデスリーガでプロ契約(7シーズン)。2021~2022「RSV Lahn-Dill(ランディル)」の主力選手としてリーグ優勝に導く。

パラリンピック4大会連続出場。東京2020大会では3ポイントシュート得点数、得点成功率ともに大会1位の活躍で銀メダルに貢献。2021年に日本車いすバスケットボール連盟選手委員会を発足させ、2022年より国際車いすバスケットボール連盟選手委員会委員としても活動中。

2022年帰国。四国、東北で車いすバスケットボールキャンプ(クリニック)を開催、2023年より子どもたちのためのアカデミーをスタートさせるなど精力的に活動を続けている。

  • パラリンピックと共生社会の推進

さまざまな障害のあるアスリートたちが活躍できるよう、発想の転換や創意工夫を凝らして、参加の可能性を広げているのがパラリンピックスポーツです。この”創意工夫”こそが、「誰も取り残されることなく、さまざまな機会が“公平”に与えられる共生社会の実現」に役立つヒントや気づきにつながり、行動変容を促します。東京2020パラリンピック競技大会をきっかけに、様々なかたちでパラリンピックをより身近に感じる機会が増えました。「パラリンピアン、かっこいい!」「感動しました!」で終わらせず、多様性を認め合い自他共に尊重する豊かな心を育み、共生社会づくりに向けた次世代を育成するため、『I’mPOSSIBLE』日本版を活用した教育活動を今後も推進していきます。

  • 『I’mPOSSIBLE』日本版について

 『I’mPOSSIBLE』は、国際パラリンピック委員会(IPC)が開発した教育プログラムで約40か国で活用されています。世界中の子どもたちがパラスポーツを題材に、パラリンピックの価値や「パラスポーツを通じインクルーシブな世界を作る」というIPCのビジョンを広めるために制作されたものです。

『I’mPOSSIBLE』日本版は、IPCが制作した国際版教材をもとに、日本の教育現場での活用のしやすさを考慮し、パラリンピックを題材に共生社会への気づきを子どもたちに促す教材として開発されました。誰も取り残さず、様々な違いのある人たちと一緒に楽しく活動するための考え方のヒントや、公平について考えさせる話題、人権感覚を育むきっかけなども含まれています。総合の学習(「多様な他者の意見を尊重しようとする態度」「自己の役割や責任を果たして生活しようとする態度」「よりよい人間関係を形成しようとする態度」を育むための活動)、体育(体育理論)、道徳(公正・公平)、家庭科(バリアフリー)などの授業の他、人権教育などでもご活用いただいています。

※初版教材は日本パラリンピック委員会(JPC)と日本財団パラスポーツサポートセンターが、ベネッセこども基金の協力のもと共同で開発しました。現在はJPCが開発・普及を担っています。

教育現場のICT化のニーズに応え、すべての教材の最新版がJPCの『I’mPOSSIBLE』ポータルサイトからダウンロードできるようになっています。2022年度のダウンロード数は約30,000件。12月には、短時間で効果的に活用できる動画教材を発表する予定です。

☆『I’mPOSSIBLE』公式サイト| https://www.parasports.or.jp/paralympic/iampossible/

【障害】の表記に付いて

 近年、「障害」の表記における「害」という漢字表記について、さまざまな意見をふまえて「障がい」とひらがなで表記することが増えています。本事務局でもこうした動向を理解していますが、読み上げソフトを使用した教材の閲覧での利便性などを総合的に判断した結果、「障害」という漢字表記を使用しています。

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