公益財団法人 笹川スポーツ財団のプレスリリース
【スポーツライフ・データ 分析レポート】
習いごと・スポーツクラブ活動状況からみる幼少年期の子どもの運動・スポーツ
「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区赤坂 理事長:渡邉一利 以下:SSF)は、2年ごとにわが国の幼児から青少年までを対象に、スポーツの「実施頻度」、「実施時間」や「運動強度」などの調査を実施しています。(2018年3月に、4~21歳のスポーツライフ関する調査結果、『子ども・青少年のスポーツライフ・データ』を発表済み)
子どもの習いごとはスポーツ系種目の人気が高く、4~11歳のスポーツクラブの加入率の推移から低年齢化する子どものスポーツ活動の実態がわかりました。幼少年期の子どもの運動・スポーツのあり方において、これからは指導者が、「指導する」から「一緒に遊ぶ」活動への発想の転換が重要であることを提案いたします。
https://www.ssf.or.jp/report/sldata/tabid/1660/Default.aspx
【主な調査結果】
■4~11歳の子どものうち、72%が習いごとをしている。習いごとの内容は、水泳(スイミング)が24.7%と最も多く、スポーツ系の種目は人気が高い。
■未就学児のスポーツクラブ加入率は2015年の32.8%から2017の40.1%と、過去2年間で7.3ポイント増加しており、子どものスポーツ活動が低年齢化していることがうかがえる。
【担当研究員コメント】
子どもの運動・スポーツ活動の低年齢化により、指導者に重要な課題
習いごと・スポーツクラブ活動状況から、子どもの運動・スポーツ活動が低年齢化していることがわかった。スポーツ指導者はこれまで小学校高学年が指導対象の中心であったが、今後は幼児や小学校低学年の子どもたちも指導の対象となることから、子どものスポーツ指導に関する知識や技能の習得はより重要な課題となると言える。
幼児期は人間の生涯にわたる運動全般の基礎・基本となる「走る」「跳ぶ」「投げる」などの動きが習得される時期である。子どもの発達に応じた運動・スポーツ・運動遊びの機会の提供と人材の育成が不可欠となる。
「スポーツ指導者」から「プレイリーダー」へ
近年、子どもに自由で豊かな遊びや多様な運動の機会を保障するため「プレイリーダー」を育成する取り組みが行われ始めている。プレイリーダーは、遊びを先導し、子どもの主体的な運動遊びを引き出す役割を担う。地域や民間のスポーツ指導者、学校・幼稚園の教員、保育士、保護者などがプレイリーダーとなる人材である。
具体的事例として、日本スポーツ協会では、様々な動きを楽しみながら身につける運動プログラム「アクティブ・チャイルド・プログラム」を開発。スポーツ少年団、幼稚園や小学校など実際の指導現場への普及を図っている。たとえば“おにごっこ”では、楽しみながら子どもの走能力を向上さるとともに、隠れる人物をみつける判断力を養うプログラムとなっている。
子どもたちが多様な動きを身に付けるとともに、からだを動かす楽しさを感じるためには、子どもと一緒に遊びを考え、工夫し、楽しむ姿勢が大切であり、これまでの「子どもに教える」から「子どもを観察し、支援する」活動への発想の転換、違う視点を持つことが求められる。
<主な調査結果>
1・子どもの習いごとの実施率と内容
4~11歳の7割が習いごとをしており、内容は水泳(スイミング)が24.7%と最も多い。習いごとのなかでもスポーツ系の種目は人気が高く、水泳のほかサッカーや体操、野球、バスケットボールなどが上位に挙がる。
【図表1】習いごとの実施率(4~11歳)(全体・性別・性別×学校期別)
資料:笹川スポーツ財団「4~11歳のスポーツライフに関する調査」2017
【図表2】習いごとの内容(4~11歳:複数回答)
注)表の太字はスポーツ系の習いごと
資料:笹川スポーツ財団「4~11歳のスポーツライフに関する調査」2017
2・学校期別にみるスポーツクラブへの加入率
4~11歳のスポーツクラブの加入率の推移を学校期別にみると、未就学児の加入率は2015年では32.8%、2017年では40.1%であり、過去2年間で7.3ポイント増加している。
【図表3】学校期別にみるスポーツクラブへの加入率の推移(2015年~2017年)
注)スポーツクラブ:学校のクラブ活動や運動部活動,民間のスポーツクラブ(スイミングクラブや体操クラブなど),地域のスポーツクラブ(スポーツ少年団や地域のスポーツ教室など)を含む
資料:笹川スポーツ財団「4~11歳のスポーツライフに関する調査」2017
【調査概要】
調査目的: 本調査はわが国の子どもや青少年(4歳~21歳)の運動・スポーツ活動の実態を総合的に把握し、スポーツ・フォー・エブリワンの推進に役立つ基礎資料とすることを目的としている。
<4~11歳のスポーツライフに関する調査(子ども)>
・調査対象 母集団 全国の市区町村に在住する4~11歳
標本数 2,400人
抽出方法 層化二段無作為抽出法
・調査方法 訪問留置法による質問紙調査(4~11歳は個別聴取法併用)
・調査時期 2017年6月24日~7月20日
・有効回収数(率) 1,573(65.5%)
・主な調査項目 運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・運動部、運動・スポーツへの態度、スポーツ観戦、好きなスポーツ選手、個人属性 等
<12~21歳のスポーツライフに関する調査(青少年)>
・調査対象 母集団 全国の市区町村に在住する12~21歳
標本数 3,000人
抽出方法 層化二段無作為抽出法
・調査方法 訪問留置法による質問紙調査
・調査時期 2017年6月24日~7月20日
・有効回収数(率) 1,636(54.5%)
・主な調査項目 運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・運動部、運動・スポーツへの態度、スポーツ観戦、好きなスポーツ選手、スポーツボランティア(12~21歳)、個人属性 等