スポーツ現場での“突然死ゼロ”を目指す!日本サッカー協会が「スポーツ救命ライセンス講習会」を実施~ 沖縄県で初開催 医師や看護師などが受講 ~

公益財団法人日本サッカー協会のプレスリリース

 公益財団法人日本サッカー協会(所在地:東京都文京区本郷、会長:田嶋 幸三、以下JFA)は、ピッチ上の選手の安全を守ることを目的とした「スポーツ救命ライセンス講習会」を2017年から開催しています。池田浩JFA医学委員長が「この取り組みをサッカー界だけでなく、スポーツに携わるすべての人に体験してほしい」と語る本講習会は、すでに全国20か所で実施しており、今夏には沖縄県で初めて開催しました。

 

<TOPIX>
・2017年までの5年間、学校管理下での突然死は122件。その多くが運動中や運動直後に発生。
・JFAは心肺蘇生法(CPR)やAEDの正しい使用方法、救命方法を身につけること、また、スポーツ現場で起こることが多い事象を把握し、適切な対処を学ぶことを目的とし2017年より全国各地で「スポーツ救命ライセンス講習会」を実施。
・沖縄県初となる「スポーツ救命ライセンス講習会」を8月18日に開催。医師や看護師、柔道整復師など13名が参加。

 

■スポーツ現場における救命処置の必要性
 近年、健康志向の高まりやスポーツの多様化により、誰もが気軽に本格的なスポーツに取り組むことができるようになりました。一方で、スポーツ現場では、心臓突然死のリスクが安静時の17倍まで高まると言われており(※1)、スポーツ競技人口が増加したことによりスポーツ中の突然死の発生リスクも高まっていると考えられます。また、学校管理下においても、2017年までの5年間で死亡件数は281件にのぼり、このうち突然死が122件(43%)を占めています(※2)。その多くが運動中や運動直後であったとされています。心臓突然死の多くは、心室細動という不整脈によるもので、これらは自動体外式除細動器(以下、AED)による電気ショックで救うことができます。そのため、スポーツ現場での突然死を防ぐためにも、正しい救命方法を身につけることが肝要だと考えられます。また、昨今の異常気象による熱中症をはじめ、スポーツ現場で起こり得る可能性が高い脳震とうやアナフィラキシー、窒息に対して、正しい応急処置方法を学ぶことは非常に重要です。

(※1) 一般社団法人 日本循環器学会「提言『スポーツ現場における心臓突然死をゼロに』」より
(※2)「学校の管理下の災害(平成26年版、27年版、28年版、29年版、30年版)」独立行政法人 日本スポーツ振興センター発行

■JFAの取り組み 「スポーツ救命ライセンス講習会」

 これらの社会背景を踏まえ、JFAでは、心肺蘇生法(CPR)やAEDの正しい使用方法、救命方法を身につけること、また、スポーツ現場で起こることが多い事象を把握し、適切な対処を学ぶことを目的とし、2017年より全国各地で「スポーツ救命ライセンス講習会」を実施しています。講習会は、これらのスキルを実際のスポーツ現場で活用できるよう、実技を交えながら行われます。全身を固定し搬送する「バックボード」と呼ばれる担架を使った実技では、安静に搬送するための方法を学ぶほか、搬送する役と患者役に分かれての模擬演習も実施します。 仰向け、うつ伏せで倒れている場合や異なる痛みの箇所での搬送法をシミュレーションするため、より現場の状況に近い内容を学ぶことが可能です。
 本講習会は、公益財団法人日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーが資格を更新する際に必要とされるBLS (Basic Life Support:一次救命処置) 資格取得のための講習会として認められており、合格者には修了証 (3年間有効のライセンス証) が発行されます。

■沖縄県でも初開催

 全国各地で実施されている本講習会が、初開催となる沖縄で8月18日(日)に行われました。当日は沖縄県サッカー協会医学委員会の協力のもと、スポーツ救命プロジェクトメンバーの古家信介先生(大阪市立総合医療センター救命救急センター)、福島理文先生(順天堂大学 循環器内科)や沖縄県サッカー協会医学委員長の大城朋之先生、プロスポーツチームのチームドクターを務める浦添総合病院の石塚光太郎先生、などが講師となり、医師や看護師、柔道整復師など医療分野に携わる13名の受講生を対象に実施しました。
 受講生の上原史成さん(浦添総合病院 医師/FC琉球チームドクター)は、「実際に参加して良かったのが搬送。普段はバックボードの固定を外す側なんですが、締めるのはほとんどやったことがなかったので実践できてためになりました。搬送では患者の役もさせていただいたのですが、なかなか運ばれる側になることは無いので貴重な経験ができました。」とコメント。受講生は全員が同じことを考えて行動することが人命救助で大事であるということを身をもって体験していただきました。今回参加した受講生は実技と筆記試験を経て、全員合格となりました。

<講師 石塚光太郎さん (浦添総合病院 医師/FC琉球チームドクター)のコメント>
 日本のスポーツドクターと言われる医師の多くは整形外科を専門としています。理学療法士や柔道整復師、アスレティックトレーナーの方々も基本的には運動器分野のことをメインに習ってきているのですが、実際の現場で命が危ない状況になったときの対処法を専門的にしっかり系統立てて習ったことがある人はそんなに多くはないと思われます。
 心肺蘇生法のコースは多くの団体でコース化されており、一般化され、修了者もスポーツ現場に増えています。しかしスポーツ現場に即した心肺蘇生の他に、外傷対応や熱中症、アナフィラキシーなどの救急疾患の初期治療までを含んでコース化している団体は国内ではありません。
 その中で日本サッカー協会にてスポーツ救命ライセンス講習会が出来たため、是非とも県内での開催をと考えており今回、県内第1回を開催することが出来ました。
 沖縄県には様々なスポーツが根付いており、今後はサッカー協会以外のスポーツ団体やスポーツ運営の方々、学校教員など多くの人々がこの講習会を受講し、もしもの時の初期対応が出来る人が1人でも多く現場におり、スポーツ現場の安全を守ることに寄与できればと思います。

■講習会開催希望の団体様に関するお問合せ先
講習会開催希望の団体様は、公益財団法人日本サッカー協会技術部宛に下記アンケートにて、お問い合わせください。
(https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfsEuMnkbCc9Nw6YqxqfY9NZfUpLrQzbJrKMzwn9lkLeyurvQ/viewform)

参考URL) http://www.jfa.jp/medical/critical_care.html

 

 

 

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