株式会社WOWOWのプレスリリース
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日本時間の7月11日(日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナで『UFC264』が行われる。
メインイベントは、ダスティン・ポワリエvsコナー・マクレガー。両者はこれまで2014年7月と今年1月の2度対戦し、1勝1敗。今回が決着戦となる。
この一戦の見どころをWOWOW「UFC-究極格闘技-」解説者としても知られる“世界のTK”髙阪剛に語ってもらった。
――『UFC264』のメインイベントは、ダスティン・ポワリエvsコナー・マクレガー。6カ月ぶりのダイレクトリマッチにして3度目の戦い、いわば決着戦となりますが、この試合を髙阪さんはどう見ていますか?
「過去2回の映像をあらためて見返してみたんですけど、とくに前回、ポワリエがTKOで勝った試合は、戦略および対策が勝敗を分けた気がしましたね。ポワリエは、ストライカーであるマクレガーに対して、カーフキックでダメージを与えることを戦略に組み込んだ上で試合をやっていたと思うんですよ。それに対してマクレガーは、カーフキックという技術は当然知っていたと思いますけど、ポワリエがそれを戦略としてくるとは思ってなかった節がある。」
——カーフキックを軸にした戦略でくるとは予想していなかった、と。
「というのも、試合開始15秒くらいのところで、ポワリエが1回カーフキックを出しているんですよ。その時は、おそらくマクレガーの反応をうかがうように、様子見で蹴ったような感じだった。そして1ラウンド残り38秒のところで、今度はけっこう強く蹴っているんです。これは頭からカーフで組み立てようという戦略がないと、できない動きだと思うので。」
――マクレガーも最初はカーフキックをスネで受けて、カットができていたのが、途中からもろにもらうようになってしまいました。あれはどういった理由が考えられますか?
「ひとつはポワリエが、“意識づけ”としてインローを蹴ったんですよ。インローを蹴られたことでマクレガーが脚を内側に向けるようになると、ポワリエはしっかりとカーフを蹴ることができる。だから、これも戦略ですよね。
また、1ラウンドはマクレガーがパンチで押して優勢だったじゃないですか。それによってマクレガーは“パンチでいける”と思ったからこそ、前重心で強いパンチを打っていきましたよね。でも、重心が前脚にあるというのは、相手からするとカーフキックを蹴れる状態でもある。そこが狙われたんだと思います。」
――なるほど。1ラウンド打撃で優勢だったことで、逆にカーフの餌食になりやすい状態になってしまった、と。
「その辺が、勝負の“アヤ”なんですよ。1ラウンドが終わった時点で、マクレガーは“パンチでいける”と思っただろうし、ポワリエの方も、1ラウンドは劣勢ながらも“これはカーフキックが当たるな”って、認識したと思うんですよね。だからこそ、2ラウンドはどんどんカーフを蹴っていって、5発目でマクレガーが崩れたところにパンチをラッシュして結果的にKOで倒すことができたんだと思います。戦略の勝利ですね。」
――とはいえ、マクレガーの動きも決して悪くなかったです。
「かなり仕上がりは良かったと思いますよ。おそらくマクレガーの方は、まずテイクダウンされないことを考えて、もし倒されてもすぐに立ってスタンドに戻す、それを繰り返すことで、テイクダウンにきたポワリエの体力を削っていこうという頭があったんじゃないかと思うんですよね。1ラウンドのところで、倒されてから立ち上がるまでの動きがすごくよくなっていたので、相当練習してきたことがうかがえました。」
――マクレガーは、ハビブ・ヌルマゴメドフやネート・ディアスに寝技で敗れていますけど、自分の弱点を克服して、テイクダウンディフェンスを強化することで、逆にテイクダウンの攻防でポワリエの体力を削っていこうとしていたんじゃないか、と。
「マクレガーは明らかにフィジカルが強くなっていましたからね。四つに組んだ状態でケージレスリングの攻防もけっこう長い時間やっていたんですけど、それは組んで削っていこうという戦略の現れだったと自分は思います。」
――敗れたマクレガーも、実は以前よりトータルで強くなっていたけれど、その死角がカーフキックだったわけですね。
「そうですね。だからマクレガーサイドからしたら、ケージレスリングの攻防でもほぼ主導権を握っていたし、1ラウンドはパンチもかなり当てていたので、思い通りの展開ができていたはずなんですよ。だからこそ、カーフを効かされた時、“まさか”“こう来たか!”っていう思いがあったでしょうね。」
――そうなると今回は、カーフキック対策をしっかりとやってきたマクレガー相手に、ポワリエがどんな戦略を練ってくるかがポイントになりそうです。
「今回も戦略が非常に重要な試合になると思います。マクレガーは敗れているので、まず前回と同じテツは踏まないということを徹底するのは当然。それにプラスアルファ、余計なことをあまり考えず勝つためのものを乗せていく、という正しい手順を踏めるか。
一方、ポワリエの方は作戦が的中して勝った方なので、今度は相手がカーフ対策をやってくることを前提に、新たな勝つための戦略を練らなきゃいけない。」
――前回はカーフキックという切り札を隠し持っていたわけですが、今回はおそらく、それが通用しなくなるからですね。
「だから、前回勝ったポワリエの方が、今回は難しい戦いを強いられる気がしますね。マクレガーは前回、カーフの対策をしていなかったことで敗れましたけど、“たら・れば”の話で言えば、カーフキックという戦略をポワリエが持っていなかったとしたら、下手したら早いラウンドでマクレガーが勝っていたんじゃないかと思うんですよ。それぐらい状態が良かったので。」
――打撃が強いのはもちろん、パワーもアップしていたし、テイクダウンディフェンスも向上していたわけですからね。
「そしてポワリエは実際に試合をした当人なので、マクレガーのあの打撃を当てる感覚や、伸びてくる左ストレート、パンチの種類、コンビネーションの使い分けなど、あれを全面的にやられたらキツいなと絶対に思っているはずなので。今回、そのマクレガーを倒すために何を持ってくるかですよね。」
——名参謀マイク・ブラウンにさらなる秘策があるのかどうか。
「そうですね。マイク・ブラウンをはじめとしたATT(アメリカン・トップチーム)軍団が、今度はどんな戦略を練ってくるか。そこが非常に楽しみだし、いったいどんな展開になるのか予想がつかないところが、興味深いですね。」
――3度目の対戦にして、いちばん展開が読めないという。
「こういう試合も珍しいですよ。また両者にとって、今後を大きく左右する大事な試合ですしね。ポワリエが、マクレガーを2度も破ったとなれば、それは最強のチャレンジャーとして、ライト級王者のシャールズ・オリヴェイラに挑戦することになるだろうし。マクレガーが、ここでポワリエに完勝したら、もう達人の域に達するんじゃないかと思います。タイトルマッチではないのに、ラスベガスのビッグマッチのメインイベントを飾るにふさわしい試合と言えるでしょうね。」
(取材・文/堀江ガンツ)
◆◆◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール◆◆◆
『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC264 in ラスベガス ダスティン・ポワリエVSコナー・マクレガーIII』
7/11(日)午前11:00[WOWOWライブ]※生中継
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
7/16(金)よる10:00[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
【対戦カード】
ライト級/ダスティン・ポワリエvsコナー・マクレガー
【出演】
ゲスト:小園凌央(俳優)
解説:髙坂剛、堀江ガンツ
実況:高柳謙一
■生中継前後に出演陣のYouTube配信!
『スタジオ裏トークUFC264』
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