東京オリンピックまであと1年。レガシープランを見直す好機に。~戦略性を持ったレガシーの実現を目指して~/笹川スポーツ財団・コラム

公益財団法人 笹川スポーツ財団のプレスリリース

未来に誇れる持続可能なレガシー創出が必要

 「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する公益財団法人笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区 理事長:渡邉一利 以下:SSF)は、東京オリンピックを1年後に控え、オリンピック終了後のレガシー創出に関するコラムを掲載しました。
 
 東京オリンピックの準備が進み、テストイベントや1年前イベントの開催など、大会に向けた機運がますます高まっています。一方で、重要な課題として大会開催後のオリンピック・レガシーの創出があります。過去の開催都市に学び、東京もレガシープランを策定しましたが、競技会場となる施設の大会後の施設運営など違和感を指摘し、未来に誇れる持続可能なレガシーの必要性を訴えたコラムとなっています。

※コラムの全文は、SSF ウェブサイトでご覧いただけます。
http://www.ssf.or.jp/topics/tabid/1841/Default.aspx


写真:フォートキシモト

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【コラム内容】

■2020年東京オリンピックに向けた課題

  • 「世界一コンパクトな大会」の理念を掲げた中での、想定を大幅に上回った経費。コンパクトな大会の理念に立ち返り、将来のオリンピック開催都市への手本となる妥当な経費支出が望まれる。
  • 大会開催後のオリンピック・レガシーの創出

■オリンピック・レガシー

  • オリンピック憲章では「オリンピック競技大会のよい遺産を、開催国と開催都市に残すことを推進すること」と明記している。
  • 開催都市は大会開催を梃子とした社会課題の解決手段や、成熟社会への転換のあり方の提示という大きな命題を受けているとも捉えられる。

■レガシープランの策定

  • レガシープランとは、開催都市がオリンピック開催をきっかけに、スポーツだけでなく、たとえば文化や教育、あるいは経済・テクノロジーなど様々な分野と連携し、国内外にポジティブな影響を与えるための取り組みを記したもの。
  • 近年では2012年ロンドン大会のレガシープランが参考例とされることが多い。
  • ロンドンでは、オリンピック・パーク内の改修業務および近隣自治体との連携・折衝を含むエリアマネジメントや、恒久施設の維持管理を委託する業務を担当するロンドン・レガシー開発公社が設立された。

■東京のレガシープランへの違和感

  • 開催都市としてのレガシープラン「2020年に向けた実行プラン」(東京都、2016)
  • 8つのテーマでレガシーの実現に向けた取り組みを示し、最初のテーマが「競技施設や選手村のレガシーを都民の貴重な財産として未来に引き継ぎます」となっており、大会を契機に東京のスポーツ拠点を拡充するとある。
  • 拠点整備の理想と想定する収支のギャップに大きな違和感を覚える。
  • 都が計1,375億円を投じて整備する6つの新施設のうち、大会後に採算が合うと試算できているのはわずか1施設(有明アリーナ)のみで、他の5施設においては合計で年間11億円の赤字が発生する。
  • レガシープランは理想を並べるだけで、持続可能な施設運営も見込めなければ、納税者への説明責任も果たせない。

■未来に誇れる持続可能なレガシーを

  • 2020年東京大会1年前のタイミングに、もういちど東京オリンピックが次代に遺す持続可能なレガシーの実現に向けた着実な計画を見直す好機と捉えるべきである。
  • 思い描く社会に向けてどのような戦略で到達するのか、責任の所在や公金投入の妥当性なども含め様々な角度から丁寧な議論と検証を繰り返すべきと考える。

■執筆者
吉田 智彦(笹川スポーツ財団スポーツ政策研究所 政策ディレクター)
http://www.ssf.or.jp/outline/tabid/1616/Default.aspx

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