学校法人青葉学園のプレスリリース
イベント当日の紹介動画:
本発表会では、本学 女子バスケットボール部 恩塚亨監督がワクワクした気持ちを創出する指導方法「コーチも選手と共に幸せになるマインド」を発表しました。
つづいて、本学 主将 木村亜美選手が自信を持てるようになるためのマインドセットの紹介として、「人生の扉を開く方法」をご説明しました。
そののち、日本バスケットボール協会 スポーツパフォーマンス部会 部会長の佐藤晃一様より自分自身で考えて最適な方法を編み出すことの重要性とそれをサポートする指導法について事前収録動画にてご説明いただきました。
また、ゲストとしてENEOSサンフラワーズの渡嘉敷来夢選手をお迎えし、恩塚監督との対談形式で、渡嘉敷選手が日頃から意識されている「チームの皆にエネルギーを与えられるような存在でいること」についてお聞きしました。
そして最後に、本学 恩塚監督、玉城耕二アシスタントコーチ、柳田尚子トレーナー、木村選手、崎原成美選手、赤木里帆選手、加治屋千遥選手とゲストとしてオンラインで渡嘉敷選手、佐藤様にご登壇いただき、「バスケットボールを楽しむには」をテーマにトークショーを行いました。
■恩塚亨監督プレゼンテーション
「ワクワクする コーチのマインド ‟コーチも選手と共に幸せになりましょう”」
本学 恩塚監督のプレゼンテーションでは、まず本イベントのテーマである「バスケットボールを楽しむ」に沿って作成された動画をご覧いただきました。本動画内では、本学の選手ひとりひとりが「なりたい自分」を考え、「なりたい自分になる」という強い思いを持って行動することでワクワクしながら練習に励めるようになったという内容です。
動画URL:https://youtu.be/E7a8r6dk_aQ
そして、ワクワクするコーチのマインドとして「コーチも選手と共に幸せになりましょう」とお話ししました。選手を幸せにするためにはまずコーチ自身が幸せになる必要があり、皆がワクワクしながらバスケットボールに向き合える環境を作るべきと語っています。
【恩塚監督プレゼンテーション要約】
〇過去の失敗「情熱(責任感)と不機嫌」の使い方の間違い
①情熱(責任感)の間違い
「徹底させなければ」「鍛えさせなければ」「苦しい思いを乗り越えさせなければ」「勝負の厳しさを教えてあげなければ」など責任感が強いコーチほど、チームを壊してしまう。
②不機嫌の間違い
(1)「一流のコーチや職人は大体不機嫌」という、厳しさが当たり前だと思っていた。
(2)不機嫌は相手が自身に合わせてくれ、気を遣ってもらえ、威厳が保てる「便利な手段」だがそれでは本当の意味で選手の成長にはつながらない。
〇コロナ禍の読書で出会った「生産性」という言葉
本来、コーチが目指したいのは「選手・チームの成長」であるにもかかわらず、コーチが不機嫌でいるとパフォーマンスが下がっていくため、自身のコーチングは生産的でなかったと気づき、以前は感情的だった指導法を、効率を重視した指導法に変えた。
〇ワクワクが大事 「なりたい自分」を思い描かせる
選手が自主練習に取り組めないときには、監視したり、記録をとらせたこともあったが、ワクワクしてそのことで頭がいっぱいになる状態を作れば自然と練習をするようになることに気づいた。そのためには、「やれ!」という指示ではなく、たとえばレブロン・ジェームズに憧れている選手には「レブロンに!」と声をかけるなど、「なりたい自分になろう!」と選手自らが練習に取り組みたくなるような声掛けを意識した。選手が常になりたい自分の姿を想像し、ワクワクしながら練習に励めるような環境を作った。
コーチとして重要なことは以下2点。
①選手の心のエネルギーをいっぱいにすること
②選手とチームの命を輝かせること
選手が「私ってイケてる!」という心の状態になるようサポートをし、「キミもイケてる!」と言葉を掛け合える環境を作ることが、コーチ役割と考えている。
〇人生の目的「たった一度の人生を輝かせる」
チームの目的は「日本一になって皆で喜びを分かち合うこと」、そのためのチームの目標は「リーグ戦優勝、インカレ優勝」だが、人生の目的が最も大事。「生まれ変わるなら生きているうちに」、コーチも選手も、たった一度の人生を輝かせられるようにワクワクしてバスケットボールに向き合おう。
■主将・木村亜美選手プレゼンテーション「人生の扉を開く方法」
本学 2021年度主将 木村亜美選手のプレゼンテーションでは、「人生の扉を開く方法」を説明しました。圧倒的存在だった先輩に対し、自信をなくしていたとき恩塚監督に教わった「根拠のない自信によって自分がSUPER HEROになる」についてお話しました。
【木村選手プレゼンテーション要約】
〇圧倒的存在だった先輩
2019年インカレ3連覇を果たしたが、当時の4年生だった選手は1年生のときから主力として活躍していた圧倒的な存在だった。インカレは優勝できたものの、うれしさよりも不安や苦しさが残った。
〇新チームでの苦悩
新チームになり、自分たちには力がないと思い、スキルや戦術をやりこんだ。しかしながら、リーグ戦で勝利してもあまり喜べていないことに気づく。楽しいからやり始めたバスケットボールに対して、勝たなければいけない義務感を感じ、大事な心が足りていなかった。
〇「根拠のない自信によって自分がSUPER HEROになる」
根拠のある自信は人との比較で生まれるため、なかなか得ることができない。一方根拠のない自信は憧れの選手など「なりたい自分」をイメージすること。
自身のなりたい姿はコートの外でも存在感を放つ渡嘉敷来夢選手。SUPER HEROになった気持ちで仲間を助けることで自信がつき自己効力感をアップさせることが重要。一方、助けられた人は感謝を伝え相手の自己効力感をアップさせることで自分の自己効力感をアップさせていく。自分たちをSUPER HERO集団、イケてる集団と信じ、ワクワクしながらプレーしていくことを実践している。
■日本バスケットボール協会 スポーツパフォーマンス部会 部会長 佐藤晃一様
プレゼンテーション(事前収録動画)
日本バスケットボール協会 スポーツパフォーマンス部会 部会長 佐藤晃一様のプレゼンテーション(事前収録動画)では、自分自身で考えて最適な方法を編み出すことの重要性とそれをサポートする指導法についてお話しされました。
【佐藤様プレゼンテーション要約】
〇「正解」を求めること
子供は、積極性、主体性、クリエイティビティ、好奇心といったポテンシャルを持って生まれてくる。しかし、成長の過程で「正解」を求められジャッジ、批判、トラウマなどの体験をする。その結果、自分独自の正解を探さず、唯一の「正解」を探すように姿勢を変えてしまう人が多い。
〇「叱るのは甘やかし」
・「叱る」ことは、何が「正解」であるかを選手に提示することになるので、選手が叱られないように行動することを促し、自分自身で考えることをやめてしまうことになり、むしろ甘やかしているようなものである。
・「叱る」ことで「正解」を提示するのではなく、物事の原則(特別な場合は別として、一般に適用される根本的な法則)を提示することで、選手が原則を元に自己判断ができるように促すことが理想的な指導。
・佐藤様個人としては選手が「自分にとって最も適した方法を見つけることをサポートする」ようにしている。
〇特に重要だと感じていること
①「ネガティブケイパビリティ」(不確実なものや未解決のものを受容する能力)
②「何かが上手くいかないときに常に自分に目を向けること」、「人々は常にベストを尽くしていると仮定する」
自分を変えることは、新たな自分を発見すること、新たな可能性を発見するためには、考えるよりもまずはやってみることが大事。
■ENEOS サンフラワーズ 渡嘉敷来夢選手×東京医療保健大学 恩塚亨監督 対談
ENEOSサンフラワーズ 渡嘉敷来夢選手と本学恩塚監督の対談では、恩塚監督がインタビュアーとなり、渡嘉敷選手が常に意識されているという「チームの皆にエネルギーを与えられるような存在でいること」についてお聞きしました。
常にポジティブでいることを心がけているという渡嘉敷選手に試合中の心構えについて尋ねると、ピンチはやってきた成果が出る場面だと思い、成功するイメージや乗り越えた自分を想像してプレーしていると語ってくださいました。怪我についても誰でも経験できることではないか
ら成長できるきっかけと捉えているそうです。また、ミスをした際も全力で謝り、次に繋げることを意識し「ごめん、次は切り替える!」と言い、受け取る側も心配にならないようにしていると語ってくださいました。
また、チームメンバーに対しても常にポジティブな声かけをしているとのことで、昨年の皇后杯の際は優勝したものの得点で負けている時間が多かったので、「絶対に大丈夫」と声をかけていたと語りました。メンバーのミスに対しても明るく接することを意識していたそうです。Wリーグ決勝に負けたことについて、悔しい気持ちはもちろんあったけれど、相手を認めることで自分もステップアップしようと考えたと語ってくださいました。それに対し、恩塚監督は「相手を讃えながら自分を作っているマインドは素晴らしいですね。少しでもこのマインドが広まる機会になったら」と締めていました。
■トークショー
トークショーでは、「バスケットボールを楽しむためには」をテーマに、本学 恩塚亨監督、玉城耕二アシスタントコーチ、柳田尚子トレーナー、木村亜美選手、崎原成美選手、赤木里帆選手、加治屋千遥選手に加え、渡嘉敷来夢選手、佐藤晃一様も参加されました。
まずバスケットボールが楽しいときについて、本学の選手から「なりたい自分になるためにワクワク感を持ってチャレンジしていること」などの声があがり、一方楽しく感じられていないときについては渡嘉敷選手が「上手くいかないことを受け入れて改善していくのも大切」と話していました。
また、恩塚監督の指導法の変化について、選手皆が気づいていたと話し、愛情をもって指導してもらえてると感じたため、その気持ちに応えて取り組んだと語りました。当時指導法を変えると恩塚監督から聞いた玉城アシスタントコーチは、選手やチームにどのような変化があるか予想ができなかったが、疲労が溜まっているインカレ前日にコンパクトに指導を終えようとすると、選手からもう1回という声が上がり、選手の持つポテンシャルを実感したと語りました。
渡嘉敷選手に理想のコーチ像を聞いてみると、自分が良くなるきっかけを与えてくれる人、一方的ではなく一緒になってチームのために戦える人が良いと語りました。
また、バスケットボールを楽しむためには健康管理も大事という観点から、柳田トレーナーから練習時間を90分に制限して短い時間の中でも濃い練習ができるようにしていたというお話がありました。それに対し、佐藤様が五感を研ぎ澄ませて、体の感覚を意識的にもつことが大切と語られました。
最後に、バスケットボールを楽しむコツとして、渡嘉敷選手が常に目標を持って、ポジティブに過ごすと、バスケットボールが好きになり、なりたい自分が生まれてくると語ってくださいました。
■東京医療保健大学 女子バスケットボール部 SNS
Instagram:thcu_bc Twitter:@THcuBc